認知症介助士とは?資格取得のメリット・受験資格・合格率など

認知症介助士という資格を知っていますか?資格の名前を見ると、認知症ケア専門士のような認知症介護に関わるプロのための資格だろうと考える方が多いかもしれません。しかし実は、医療や介護に従事する方ではなく、一般の個人・企業・市民を対象とした資格なのです。今回はそんな認知症介助士の資格取得のメリットや検定試験の受験資格、合格率、受験料などをご紹介します。認知症介助士について詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。

【簡単に解説】認知症介助士の資格とは?

認知症介助士とは、認知症を正しく理解し、さまざまなケースにおける認知症の方への適した対応方法を習得した者のこと。公益財団法人日本ケアフィット共育機構が2014年に創設した民間の資格です。認知症に関する資格といえば、認知症ケア専門士を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、認知症介助士と認知症ケア専門士とでは、資格取得のための研修対象者に大きな違いがあります。

認知症ケア専門士が医療・福祉の仕事をしている看護師や介護スタッフなどを対象とするのに対し、認知症介助士一般の個人・企業・市民を対象としています。つまり、認知症の医療・福祉的なケアを学ぶのではなく、家庭・職場・地域など日常生活の中で役立つ認知症の方へ対応などを学びます。

今後は認知症を医療や福祉だけの問題として捉えるのではなく、広く地域社会全体で認知症の方が安心して暮らせる環境づくりをすることが大切になります。その環境づくりの担い手となるのが認知症介助士なのです。認知症介助士は比較的新しい資格ですが、資格取得者数は1万人以上にのぼります。社会からの注目度の高さがうかがえますね。

認知症介助士の資格取得のメリット

一般の個人・企業・市民を研修対象者としている認知症介助士。資格取得にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを2つご紹介します。

地域社会の一員としての認知症の方への適切な対応を学べる

認知症介助士の研修では、認知症に関する正しい知識を習得するだけでなく、日常生活のさまざまなシーンを想定した認知症の方への対応を学ぶことができます。例えば、家族・近所に認知症の方がいる場合、顧客に認知症の方がいる場合、外出先で認知症の方を見かけた際に役立つ対応方法など。このように介護の現場で働くプロの視点ではなく、地域社会で生きる一人の市民の視点で認知症の方への適切な対応方法を学ぶことができるのです。

また「認知症介助士公認テキスト」には、お店などサービスを提供する現場における具体的な事例や的確な対応方法、認知症の方を支える家族の体験談なども掲載されており、介護のプロにとっても参考になります。

介護職への転職の際にアピールできる

介護種に就く際は一般的に、介護職員初任者研修を取得するケースが多いと言われます。認知症介助士の資格を保有していれば、認知症に関してより広く深い知識を習得しようとする心構えや熱心さをアピールすることも可能です。

また認知症介助士の検定試験に合格すると、日本ケアフィット共育機構から認定状が発行されます。希望者にはカードタイプの認定証の受け取りも可能です(別途税込2,200円が必要)。このように認知症介助士は資格を保有することを示す証明書があるため、履歴書の資格欄にもしっかりと記載することができます


介護業界間の転職のほか、医療業界や異業種から介護業界への転職など、どのケースの就活においても認知症介助士の資格は役立つでしょう。ただし、認知症介助士の資格を取得したことによって年収が上がるなどの仕組みを設けている施設や法人は少ないようです。

認知症介助士検定試験の受験資格は?

認知症介助士検定試験に受験資格はありません。職業や年齢に関わらず、誰でも受験することができます。

また検定試験の受験方法も4通り用意されており、自分の都合に合った受験方法を選べます。なお、試験内容や合格基準などはどの受験方法でも同様です。

  • 方法1:認知症介助士セミナーを受講し、同日に検定試験を受験する
  • 方法2:東京・大阪などにある同機構が指定する会場にて検定試験のみ受験する
  • 方法3:全国各地にあるCBTセンター(※)にてパソコン受験
  • 方法4:インターネット経由で自身のパソコンを使って受験

※CBTセンター…Computer Based Testingの略。全国各地にあるコンピュータを使った試験を行えるテストセンターのこと。

認知症介助士検定試験の合格率や難易度は?

公益財団法人日本ケアフィット共育機構が運営する認知症介助士公式サイトによると、検定試験の合格率は9割以上となっています。難易度はかなり低く、誰でも気軽に受験できる検定試験と言えるでしょう。

なお、試験問題は全部で30問。1問1点の30点満点のうち21点以上を獲得すると合格することができます。

認知症介助士の資格取得に要する受験料や受講料は?

認知症介助士の資格取得に要する料金は、受験方法によって異なります。受験方法ごとの料金は以下のとおり。なお、「認知症介助士公認テキスト」3,300円(税込)の購入は必須です。

・認知症介助士セミナー受講+検定試験受験の場合

受講料:テキストがない場合は19,800円(税込)持参の場合は16,500円(税込)
上記の価格には、検定試験の受験料も含まれています。

・指定会場にて検定試験のみ受験する場合

受験料:3,300円(税込)

・全国各地にあるCBTセンターにてパソコン受験する場合

受験料:3,300円(税込)

・自身のパソコンを使って受験する場合

受験料:3,300円(税込)

認知症介助士は日本社会に生きる一員として役に立つ資格

認知症介助士の研修では、介護の現場ではなく、家庭や地域などで認知症の方に接する際の適切なコミュニケーションや対応方法を学びます。認知症の方が生きやすい環境をつくることは、超高齢社会の日本にとって大変重要なこと。この重要性にいち早く気付き、認知症介助士の資格を取得していることは、介護の現場でも大きなアピールポイントとなるはずです。ぜひ認知症介助士を目指してみてください。

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