新人言語聴覚士さんにインタビュー!発話や口腔機能をサポートする仕事の魅力とは?
リハビリといえば、「身体機能」の訓練をイメージする方が多いかもしれませんが、「言語機能」「口腔機能」に特化した訓練もあります。言語聴覚士は、発話や嚥下などが困難な方に向けたリハビリを行う専門職です。
今回は広島市の「訪問看護ステーションかがやき」で言語聴覚士として活躍する逸見莉香さんにお話を伺いました。高校時代の職場体験をきっかけに、言語聴覚士を志した逸見さん。言語聴覚士のやりがいや面白さなどを語っていただきました。「言語聴覚士って何?」と興味を持った方は、ぜひ読んでみてくださいね。
※インタビュー実施日:2022年7月
大学で言語聴覚士の資格を取得。急性期病院、回復期病院に勤務したのち、「訪問看護ステーションかがやき」入職。現在は施設・在宅でのリハビリを行っています。
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目次
言語聴覚士を目指したきっかけは?
(逸見さん)学生の頃から「手に職をつけたい」と考えていました。弟が病気がちで病院に行く機会が多かったので、自然と医療職を目指すようになったのです。
「言語聴覚士」を初めて知ったのは高校生の頃ですね。人と話をする、食事をする「口」のリハビリは少し特殊で、口腔機能って大切だなと実感しました。
実際にST(言語聴覚士)さんに会ったのは、高校の夏休みの職業体験のときです。職場体験では地元の病院に行き、医師や看護師さんなどの働く姿を目にしました。そこで、患者さんに寄り添うSTさんの姿を見て、「私もこんなリハビリをしたい!」と思ったのです。
そこから言語聴覚士を目指して、受験勉強を開始しました!人生で一番勉強したと思います(笑)言語聴覚士になる上で臨床実習は必須なので、大学3年の頃に通っていた大学が運営する病院へ実習に行きました。期間は全16週間です。
実際に現場を体験してみて、座学だけだと分からないことがたくさんあり、「まだまだ勉強しないといけないな」と痛感したのを覚えています。特に嚥下は命に直結することなので、患者さんを目の前にして、リハビリの重要さや役割の重さも実感しましたね。
大学卒業後は急性期病院に4年勤務して、広島県に転居しました。回復期病院に勤務したのち、現在の職場(訪問看護ステーションかがやき)に就職しました。1年前に結婚して、いずれは子供も欲しいと考えているので、子育てと仕事を両立しているスタッフが多い現在の職場を選びました。
言語聴覚士の仕事の内容は?
(逸見さん)今は、グループ内のサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に訪問してリハビリを行う機会が多いです。加えて、在宅療養の方も訪問しています。
嚥下のリハビリを行うときは、実際に食事をしていただきながら、嚥下の筋トレをすることもあります。例えば、おでこを手でグッと押したまま下を向いてもらうと、喉に力が入りますよね。こうやって、喉の筋肉を鍛えるんです。また口周りの筋肉を鍛えたり、口の前のティッシュペーパーをフーっと吹いて呼吸の練習をしたり、痰を出せない方も多いので吐き出す訓練をしたり…。生活に直結した訓練が中心ですね。
ケアプランで「食事中にむせることが多いので、食事を評価してください」という依頼を受けることもあります。そんなときは、食事の形態(もっと小さく刻む、ミキサー食にする、とろみをつけるなど)、食べる時の姿勢、スプーンの大きさなどをアドバイスします。
最近は、ご家族から「どうすれば食べられるようになりますか?」と相談されることも多いです。病院では機能向上を目指すリハビリを行っていましたが、在宅・施設で暮らす方にはその人らしく安全に暮らすためのリハビリが求められます。
維持期(機能を落とさず維持していく事を目指す時期)のリハビリと訪問リハビリの分野は、病院勤務の頃と異なる点が多く、覚える内容も多くて毎日バタバタです(笑)他職種の方と連携する中では、リハビリに対する考え方も違う方もいて、難しさを感じるときもあります。
これからの目標や取り組みたいことを教えてください
(逸見さん)まだまだ若輩者なので、利用者さんや他のスタッフにとって信頼できるSTになりたいです。そのためにも、たくさん経験を積んで、成長していけたらと思います。周りには尊敬できるスタッフもSTも多くいますから、皆さんから学び取っていきたいですね。
また、STの認知度も上げていきたいです。STの人数はOT・PTさんのように多くありません。STの仕事を広く知ってもらうためにも、実績を作っていきたいです。
これから介護の仕事を目指している方や、興味を持っている方へのメッセージ
(逸見さん)言語聴覚士の仕事は、本当に面白い仕事だと思います。PTさんOTさんは運動機能系のリハビリを担当されていますが、「言葉」や「嚥下」などの特殊なリハビリをするのはSTだけです。その分、責任も重いけれど、やりがいを感じます。
病院で働いていた頃は、患者さんが退院してしまうと、患者さんの「その後」は基本的に分かりませんでした。その点、訪問リハビリの良いところは、患者さんの在宅の生活に関われるところです。セラピストとして、人が一番長い時間を過ごす在宅での時間をサポートできる点に魅力に感じています。
(逸見さん)利用者さんは一人ひとり違うので、それぞれに合った対応を取るのは大変です。ですが、試行錯誤して導き出したことが利用者さんのプラスになったら、達成感に繋がります。たとえ難しい状況でも、医療や介護は1人ではなくチームで関わる仕事なので、周りのフォローも得られやすいです。「一人じゃない、頼れる人がいる環境」というのは、迷っている方にとっては心強いと思います。言語聴覚士の仕事に興味がある方は、勇気を出して飛び込んでみてほしいですね。
言語聴覚士は今後も必要とされる仕事!
発話や嚥下機能に特化したリハビリを行う言語聴覚士。「伝えたい」「食べたい」といった思いをサポートすることは、その人らしい生活を送るために不可欠です。病院・施設・自宅ごとに求められるリハビリの形は異なりますが、チームで対応する介護・看護の現場では一人で全てをやりきる必要はありません。逸見さんのように、チームと一緒に成長していけば大丈夫!言語聴覚士の仕事に興味が沸いた方は、ぜひ受験方法も調べてみてくださいね。
【訪問看護ステーションかがやき】
所在地 | 広島市安佐南区祇園2-47-8 |
電話番号 | 082-875-6752 |
公式サイト | https://www.lsi-kk.co.jp/visiting-nurse-station/ |
★2022年9月1日、広島市南区仁保新町に「訪問看護ステーションかがやき南」オープン!