『複合型サービス』とは?介護職が知っておくべきポイント

介護報酬改定に向けて注目が集まる“新たな複合型サービス”。現行の複合型サービスとは異なる内容で、利用者さんへのメリットも大きいと言われています。今回は複合型サービスをメインテーマに、介護職として知っておきたい知識をご紹介しましょう。介護における複合型サービスの解説をはじめ、新たな複合型サービスが検討される背景や、2024年の介護報酬改定でサービスの新設が見送りとなった理由を掘り下げていきます。

介護における複合型サービスについて

まずは介護における複合型サービスをチェックしていきます。

複合型サービスとは?

複合型サービスとは、2つ以上の介護サービスを組み合わせたものを指します。2024年の介護報酬改定に向けた新たな複合型サービスとして“訪問介護”と“通所介護”を組み合わせたものが検討されていましたが、2023年12月の審議会で見送りとなりました。
2024年2月現在、厚生労働省に認められている複合型サービスは看護小規模多機能型居宅介護(看多機)のみ。“訪問看護”と“小規模多機能型居宅介護”を組み合わせたサービス内容です。看多機で提供されるサービスは、通い・泊まり・訪問看護・訪問介護の4つ。利用者さんの「退院した後の在宅生活に不安がある」「病状不安定期でも在宅生活を続けたい」などのニーズに対応しています。

看多機訪問看護+小規模多機能型居宅介護
検討中の新たな複合型サービス訪問介護+通所介護

看多機と検討中の新たな複合型サービスは、組み合わせるサービスが異なります。そのため、これまでにない組み合わせの複合型サービスの創設、という点から今後の動向に注目が集まっています。

新たな複合型サービスは利用者さんにどんなメリットがある?

一つ目のメリットは、利用者さんの急なサービス変更へ柔軟に対応できることです。現行の制度では、訪問介護から通所介護へサービス変更する場合、ケアプランの見直しが必要になります。しかし、新たな複合型サービスなら一つの事業所内でサービスの切り替えが可能になり、より柔軟に対応できるでしょう。
二つ目は、利用者さんを切れ目なくケアできることです。一つの事業所内で訪問・通所介護を提供する新たな複合型サービスでは、利用者さんの情報を共有できるため一貫してサポートできます。

新たな複合型サービス検討の背景&見送られた理由は?

続いて、新たな複合型サービスが検討される背景と、見送られた理由を見ていきましょう。

新たな複合型サービスが検討される4つの背景

【その1】訪問介護サービス利用者数の増加

急速な高齢化が進む現代では、訪問介護サービスを利用する方が年々増加傾向にあります。さらに、2025年以降は団塊の世代が75歳以上になることもあり、訪問介護サービスのニーズはより増えていく見込みです。

【その2】訪問介護職の人材不足

介護業界全体でも問題視されている人材不足。訪問介護事業所においても「介護職の人手不足で対応が難しく、サービスの提供を断ることになった」というケースの報告もあり、必要な方へのサービス提供ができていない状態です。

【その3】訪問介護と通所介護を併用する利用者さんが多いこと

厚生労働省が2023年に発表した資料『新しい複合型サービス(地域包括ケアシステムの深化・推進)』によると、訪問介護を利用する利用者さんのうち、46.7%の方が通所介護を併用していることが分かりました。このことから、一体的にサービスを提供できる事業所へのニーズは大きいと言えるでしょう。

【その4】同法人内で2つの事業所を運営しているケースが多いこと

前出の厚生労働省発表の資料によると、事業所の半数以上が同法人内で訪問介護事業所と通所介護事業所を運営しています。つまり、併設の必要性を感じている介護サービス経営者が多いと言えるでしょう。

新たな複合型サービスが見送られた理由

見送られた理由には、「現行制度の規制を緩和すれば良いのでは」「制度の複雑化につながる」などが挙げられています。しかし、訪問介護事業所運営の実態から今後も議論が必要だと考えられているため、新たな複合型サービスの検討は引き続き行われる見込みです。

新たな複合型サービスの今後に注目しよう

訪問介護と通所介護のサービスを一つの事業所内で提供する新たな複合型サービス。現行の制度にはないメリットや検討されている背景に注目すれば、その必要性が見えてきます。課題や懸念点も多いのが現状ですが、新サービスの創設は今後も検討される見込みのため、介護職として“新たな複合型サービス”の動向に注目していきましょう。

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