梅雨の時期の高齢者に注意!安全・快適に過ごすポイント

梅雨は、雨が多く高温多湿の日が増え、暑い季節へと移り変わる期間です。老化によって体温調節機能が低下したり、足腰が弱くなったりしていることが多い高齢者にとって、事故やトラブルに見舞われやすい時期とも言えます。介護施設では、利用者さんが快適に過ごせるよう、トラブルや事故は未然に予防したいもの。そこで今回は、梅雨の時期に高齢者に起こりやすいトラブルについての注意点や快適に過ごすポイントを紹介します。

梅雨時期は事故やトラブルが多発?

湿度や気温の高い梅雨は介護施設を利用する高齢者にとって、脱水症や食中毒などさまざまなトラブルに注意したい時期です。雨の日は足元が悪く滑りやすいため、転倒などの事故が起こってしまう危険性も。事故やトラブルを予防するには、梅雨の期間に高齢者に起こりやすいトラブルを事前に知っておくことが大切です。

梅雨時期の注意点1:雨に濡れた道や床で転倒

雨が多く湿度が高い梅雨は、床や道が水分を含みやすく、滑りやすい状態になっていることが多いです。筋力が低下して足腰が弱くなっている高齢者は、歩行の際に足が上がりにくく、滑るような歩き方をする方が多い傾向にあります。そのため、床や道が濡れていると、足を取られ転倒する危険性が高まるのです。雨の日の歩行は、とくに注意して見守りましょう。

梅雨の時期には、室内・屋外問わず、履物に滑り止めがちゃんとついているか、杖の先のゴム部分はすり減っていないかなど、よく確認しておきましょう。移動の際には、手すりをしっかり持って焦らず歩くように声かけすることも大切です。外出する場合には、傘よりも両手が使えるレインコートがおすすめ。介助者もレインコートを着用していれば、すぐに手助けすることができます。

梅雨時期の注意点2:気温上昇で脱水・熱中症

気温が高くなる梅雨に高齢者が注意したいのが、脱水症や熱中症です。気温の上昇に伴い体温が上がると、身体は汗をかいて体温を下げようとします。大量の汗によって体の中の水分や塩分が不足した状態が脱水症です。脱水症になると、血液がうまく全身に巡らなくなり、臓器の機能が低下し、頭痛や倦怠感の原因となることもあります。熱中症は、高温の環境下で体内の水分と塩分などのバランスが崩れて体温調節機能が働かなくなり、めまいや倦怠感、けいれん、意識障害などの症状が起こる状態のこと。高齢者は、体内の水分量が少ないため、脱水症や熱中症になりやすい傾向にあります。唇が乾燥している、腕をつかんで離すと跡が残ったままなどの症状が見られる場合には、脱水症を疑ってもいいかもしれません。

脱水症や熱中症を防ぐには、積極的に適量の水分を摂取する習慣をつけることが大切です。食事時はもちろん、トイレに行ったときやおやつの時間、入浴の前後など、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給をするよう声をかけましょう。夏のおやつは、ようかんやゼリーなど水分が多いものを選ぶのもおすすめです。ただし、糖分やカフェインを含む飲み物は過剰に摂取しすぎないよう注意しましょう。

梅雨時期の注意点3:高温多湿による食中毒

梅雨の時期は、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌など、細菌による食中毒に要注意です。細菌は食品や調理器具などに付着して増殖し、その食品や調理器具を使って作った料理を口にすると、食中毒を引き起こします。腹痛や下痢、嘔吐などがおもな症状ですが、高齢者は脱水症になることもあり、命に危険が及ぶ可能性も。

食中毒は、原因となる細菌を口にすることで発症します。予防するには、細菌を食べ物につけない、増殖させないことが重要です。予防策としては、食事の前やトイレの後などにこまめな手洗いをする、食べ物を保管する時は必ず冷蔵庫へ入れ、早めに食べるなどが挙げられます。梅雨の時期には、高齢者はとくに注意して予防策を講じましょう。

梅雨時期の注意点4:蒸れなどによる皮膚トラブル

気温と湿度が高い梅雨は蒸れやすいため、高齢者はオムツかぶれや床ずれなどさまざまな皮膚トラブルにも注意が必要です。オムツ内は蒸れやすく、蒸れた状態が続くと皮膚がふやけてオムツとの摩擦でかぶれ、オムツかぶれを起こしてしまいます。オムツかぶれを防ぐために、オムツが汚れていなくてもこまめに交換し、ふき取る際には肌を刺激しないよう、優しくなでるように処理しましょう。床ずれは、汗や湿度で寝具や下着が湿った状態になると皮膚が不衛生になりやすく、皮膚と寝具の摩擦によって起こります。体重がかかりやすいお尻・肩甲骨など、肌が赤くなっていないか注意して観察しましょう。

また、梅雨は水虫も発生しやすい時期です。水虫の原因菌はカビの一種で、梅雨の高温多湿の環境を好む特徴があります。介護施設では、靴下を履いて過ごすことが多く、足元は常に蒸れやすい状態。より一層蒸れやすくなる梅雨には、靴下を交換したり、乾かしたり、湿り気のない状態を保つことに気を付けましょう。

皮膚トラブルを軽減するためには、よく乾かす、清潔な状態を保つことが重要です。オムツの場合、タオルドライ後すぐに着用するのではなく、しっかり乾いたことを確認してからに履かせるようにしましょう。床ずれにはワセリンやオリーブオイルが有効。雨で寝具が干せない場合には、取り替えやすいタオルを活用すれば、清潔を保ちやすいですよ。

梅雨時期の注意点5:雨で外に出られないことによる運動不足

梅雨は、雨のため外出の機会も減り、思うように身体を動かすことができないシーンも多いでしょう。活動量が減ることで、身体機能を低下させ運動不足になってしまうというマイナス面もあります。とくに、不調だったり、身体に障害があったりする高齢者の方にとっては、普段からあまり多くない活動量がさらに減ってしまう可能性も。

運動不足は、食欲の低下や睡眠の質の低下、転倒のリスク増加、認知症の悪化などさまざまな悪影響を及ぼす原因につながることもあります。高齢者でも屋内で安全にできる簡単な体操やゲームなどを行い、意識して体を動かすことが重要です。運動は気持ちのリフレッシュにもなります。こもりきりになってしまいがちなときには、積極的に運動する機会を作りましょう。

梅雨時期に多いトラブルを知り予防しよう!

梅雨は、高齢者にとってさまざまなトラブルが起こりやすいため注意が必要な時期です。トラブルは可能な限り未然に防ぎたいもの。どのようなトラブルが梅雨時期に発生しやすいのか知っておくことで、予防できるでしょう。梅雨の時期を安心して乗り越えるために、高齢者に起こりやすいトラブルに注意しながら利用者さんが快適に過ごせるようケアすることが重

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