【高齢者のおむつかぶれ・あせも】介護職が知っておくべき肌トラブル対策

高温多湿の汗ばむ季節に多くなる、高齢者の肌トラブル。完全に防ぐことは難しくても、日常生活の中で対策をしておけば、悪化を避けることは可能です。今回は、高齢者のおむつかぶれをはじめとする肌トラブルの基礎知識と注意点を紹介します。また、肌トラブルの予防につながる対策も紹介しますので、介護職として利用者さんにできる対策はどのようなものがあるのか確認しておきましょう。

高齢者のおむつかぶれ・あせもの主な原因は?

ここでは、高齢者の肌トラブルに多いおむつかぶれやあせもが起きやすい理由や、その原因を見ていきましょう。

高齢者に肌トラブルが起きやすい理由

高齢者に肌トラブルが起きやすいもともとの原因は、加齢による肌のバリア機能の低下です。

肌の表面は、角質層と呼ばれる細胞の層で覆われています。さらに角質層の外側は皮脂で覆われており、さまざまな外的ダメージから守るバリアのような役割をしているのです。角質層内ではセラミドなどが潤いを保ち、肌表面の皮脂の膜が水分の蒸発を防ぐ働きをしています。

しかし、加齢にともない角質層の潤いを保つ力が下がり、皮脂の分泌も減ることで肌のバリア機能は低下しがちに。そのため、外部からの刺激でダメージを受けやすい状態になるのです。

高齢者に多い肌トラブルとその原因

肌のバリア機能が低下する上、介護が必要な方の場合は肌トラブルが起こります。入浴回数が減ることにより清潔を保ちにくかったり、長時間布団で過ごすことが多くなり血流が悪くなったりといったことが、肌トラブルの原因になりやすいのです。

また、おむつを使っている高齢者の場合は、排泄物の汚れや皮膚がふやけることなどがおむつかぶれの原因になります。さらに、おむつ交換の際の拭き取りによる摩擦も、おむつかぶれを引き起こすといわれているのです。

気温が高くなるにつれ、あせもや日焼けといった肌トラブルも多く見られます。あせもは、肌が重なり合う部分に汗がたまることが原因。太陽光に含まれる紫外線を過度に浴びる日焼けは肌に大きなダメージを与え、バリア機能の低下にもつながります。

夏場に向けて増加する高齢者に多い肌トラブル

ここからは、梅雨時期から夏場に向けて多くなる、高齢者の肌トラブルについて見ていきましょう。

おむつかぶれ

高齢者の肌トラブルに多く見られる、おむつかぶれ。症状としては、痛みやかゆみをともなう赤みや湿疹などが見られます。

おむつかぶれの主な原因は、排泄物の汚れや長時間のおむつ使用による皮膚のふやけ、拭き取り時の摩擦ですが、肌自体の性質にも関係があるようです。健康な肌は弱酸性のため、アルカリ性の汚れに弱い性質があります。

尿は弱酸性ですが、排泄後は雑菌に分解されて時間の経過とともにアルカリ性に変化。また、便はアルカリ性の消化液を含んでいるため、下痢便は残った消化酵素でpH値が高くなります。さらに、おむつを使用する高齢者は尿のpH値が高い傾向にあり、弱酸性の肌にダメージを与えるのです。

あせも

気温が高くなり、汗をかきやすい季節に多いあせも。汗が出る管が詰まって、皮膚内部に汗がたまることで発症します。症状としては、皮膚の炎症やかゆみをともなう湿疹、水疱などです。

あせもの症状は、汗をかきやすくたまりやすい首回りや背中などに多く見られます。腰が曲がって背中が丸くなっている円背の高齢者は、腹部や胸の下のような肌が重なり合う部分もあせもになりやすいので注意が必要です。

日焼け(日光角化症)

太陽光に含まれる紫外線は、肌に大きなダメージを与えます。日焼けをすると肌が炎症を起こして赤みができ、酷い場合は水疱といった火傷のような症状になることも。また、60歳以上に多く見られる「日光角化症」という疾患があります。紫外線を長年浴び続けたことにより発症し、治療が遅れると皮膚がんに移行することがあるので注意が必要です。

日光角化症は、頭部や顔面に直径1~2センチほどのかさぶたや紅斑ができます。痛みなどの症状が出ないため気づきにくいですが、疑わしいようであれば早めに医療機関を受診しましょう。

高齢者の肌トラブルは日頃のケアが大切

高齢者のおむつかぶれやあせも、日焼けといった肌トラブルは、悪化すると深刻な事態に陥ります。日頃のケアにより肌トラブルは予防できるので、ポイントを押さえておきましょう。

おむつ交換

高齢者のおむつかぶれを防ぐには、こまめなおむつ交換が大切。特に、長時間おむつを着用する夜間の時間帯は注意が必要です。就寝前に交換した後、可能であれば夜間に数回交換しましょう。また、排泄物が長時間肌に触れたままにならないよう、飲食後どれくらいの時間が経ってから排泄しているのか、タイミングを把握しておくこともポイントです。

洗ったり拭き取ったりするときに、清潔を保とうとしてゴシゴシと擦ってしまうと摩擦で肌がダメージを受けてしまいます。洗浄剤の使用は1日に1回程度に抑え、強く擦らずやさしく触れるようにしましょう。

汚れを拭き取ったら、肌をしっかり拭くことがおむつかぶれの予防につながります。おむつを着ける前にオイルスプレーや保護クリームで保湿・保護しましょう。

入浴後や汗をかいた際の拭き取り

あせもの予防には、汗をかいたらすぐに拭き取って清潔を保つことが効果的です。また、入浴後に水分が残ったままになっていると、雑菌が繁殖してあせもの原因になることもあります。

入浴後の拭き取りの際は、見えている場所だけでなく、肌がシワ状に重なっている部分や、肘や膝の内側など関節部分も丁寧に水気を拭き取ってから肌のケアをしましょう。あせもになりやすい場所は、普段の体勢や体の状態によって異なります。汗がたまりやすい場所や肌が重なっている場所を把握しておくことも大切です。

日焼け対策

紫外線が強い日中の外出を控え、肌を露出しない服装にすることが、日焼け対策につながります。また、外出の際は日焼け止めを使用しましょう。日焼け止めは、肌の弱い高齢者でも使える刺激が弱いタイプがおすすめです。

紫外線を浴びた肌は、とても乾燥しています。肌のバリア機能が低下している高齢者は大きなダメージを受けていることが考えられるので、しっかりと保湿をしましょう。

高齢者の肌トラブルが起こった場合は?

日常生活で対策をしていても、高齢者のおむつかぶれなどの肌トラブルは避けて通れないことが多いものです。症状がみられた場合は、早めに医師に相談してください。適切な処置を早期に行うことで、肌トラブルの悪化を防ぐことができるでしょう。

おむつかぶれが起こったときの対処法

おむつかぶれの治療には、一般的に抗炎症作用のある軟膏が処方されます。軟膏にはステロイド外用液と非ステロイド外用液の2種類がありますが、ステロイド=強い薬というイメージから使うことに抵抗を感じる方もいるのではないでしょうか。

しかし、症状に合わない弱い薬を使い続けることで、症状が改善されなかったり治るまでに時間がかかって跡が残ったりする可能性があります。症状に合わせた薬を医師に処方してもらい、用法用量を守って適切に使用することが大切です。

おむつかぶれ以外の肌トラブルの可能性も…

おむつかぶれやあせもの治療薬を使用していても、一向に症状が改善しない場合があります。そのような場合は、おむつかぶれ以外の病気の可能性も考えられるので、医師に相談してみましょう。

おむつかぶれに似た症状が現れる病気に、「皮膚カンジダ症」があります。カンジダ菌と呼ばれる、カビの一種が繁殖して炎症が起こる病気です。おむつかぶれやあせもと同じく梅雨時期から夏場にかけて多く発症し、赤ちゃんや高齢者のおむつの中は特に菌が増殖しやすいといわれています。

症状は似ていますが、おむつかぶれと違いステロイド剤で悪化するので注意が必要です。
皮膚カンジダ症の治療には抗真菌薬を使用するので、おむつかぶれやあせもの治療薬で効果がない場合や悪化していると感じるときは、医師に相談してみるとよいでしょう。

また、おむつかぶれは肌の表面に起こる症状ですが、皮膚の内部に損傷が起こっているケースもあります。内部にまで損傷が及んでいる症状は「IAD(Incontinence Associated Dermatitis:失禁関連皮膚炎)」と呼ばれ、肌表面だけのケアでは症状の改善は望めません。おむつかぶれの症状が改善されない場合、IADではないかという視点を持つことも大切です。

いずれにしても、いつもと違う症状が少しでも見られた場合や、治療をしても改善しない場合は、医師に相談してみましょう。

高齢者のおむつかぶれやあせもは予防が大切

介護を必要とする高齢者に起こりやすい肌トラブル。かゆみや痛みをともなう症状は、とても辛く、QOLの低下にもつながります。今回の記事では、高齢者のおむつかぶれなどへの対策を紹介しました。肌トラブルの予防や症状の悪化を防ぐために、できることから日頃のケアを心がけてみてください。症状が改善しない場合は、医師に相談することも大切です。

この記事をシェアする