尊厳を支える介護とは?実現できていないケースもふまえ方法を考える

「尊厳を支える・守る」といった言葉には、名誉や自尊心を傷つけない、個人としての在り方を尊重する、といった意味合いが含まれます。介護保険法には「尊厳を保持」する旨の文言があり、介護の仕事を担ううえで「尊厳を支える介護」は重要な事項です。では、尊厳を支える介護とは具体的にどのような行動・方法を指すのでしょうか。概要や、実現できていない事例などをご紹介し、高齢者の尊厳を支える介護の在り方を考えていきます。

介護において「尊厳を支える」とはどのようなこと?

「尊厳を支える介護とはなにか」を考える際に重要となるのが、「尊厳を支える」ことへの理解でしょう。

尊厳を支えるとは、「個人の名誉や自尊心を傷つけないこと、個人としての在り方を尊重すること」です。「身体面・精神面・社会面において相手に敬意を払うこと」とも考えられます。

尊厳は、介護が必要な方に対しても保持されるべきものです。尊厳を支える介護とは、高齢者や施設利用者さんが「自分らしく、あるべき姿」でいられるよう配慮しながらケア・サポートしていくことではないでしょうか。

「尊厳を支える」ができていないケースとは?

尊厳を支える介護とは、高齢者が自分らしくいられるよう配慮しながら介護をしていくことです。しかし、実現ができていないケースや、無意識に尊厳を無視する結果となってしまっているケースがあります。

身体的に尊厳が守られていない例

身体的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、施設利用者さんの怪我の予防や、感染症対策、機能低下を防ぐ対策が十分に行えていないケースなどです。

たとえ意図的でなくとも、怪我をしやすい環境を放置していたり、感染症や食中毒の予防対策をしていなかったりすると尊厳を傷つけることに値します。長時間の拘束や、排泄を我慢させるなどの行動にも注意しましょう。

手荒い介護や、利用者さんに思いどおりに行動してもらうために引っ張るといった行動、暴力などはもってのほかです。

精神的に尊厳が守られていない例

精神的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、不安や不信感、悲しみや怒りを抱かせてしまうケースなどです。

施設利用者さんをひとりで放置して不安を抱かせてしまうことや、嘘をついたり騙したりすること、無視や差別、見下すような行為は尊厳を傷つけます。

社会的に尊厳が守られていない例

社会的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、権利のはく奪や経済的な損失を与えることです。

「ご自身では判断できないであろう」と、無意識に高齢者や施設利用者さんの気持ちを無視する結果となっていることはありませんか?「本人はこう言っているけど、合理的ではないから変えよう」などと、介護側の考えだけで要望を却下してしまうことも気をつけたいところです。

たとえば、「施設利用者さんが買い物に行きたそうだったから、利用者さんのお金で必要そうなものを適当に買ってきておいてあげた」というケースがあったとしましょう。親切な行為のようですが、利用者さんにとってはそうではないかもしれません。「購入するものを自分で選びたかった」「人に頼みたくなかった」「勝手にお金を使われた」など、尊厳が損なわれた気持ちになる場合があります。

高齢者の尊厳を支える介護とは?方法を考える

ここからは、介護スタッフ一人ひとりが高齢者や施設利用者さんに対して行える「尊厳を支える介護」を考えていきましょう。高齢者の尊厳を支える介護とはなにか、どのような方法が適しているか、を考える際にポイントとなるのが、前項の「尊厳が守られていない例」です。

まずは「尊厳を支える介護とは?」「自分にできているか?」などご自身の行動を振り返ってみましょう。尊厳を支える介護を実践していくにあたっては、「相手に敬意を払うこと」と「相手の気持ちを尊重した行動をとること」がカギです。

相手に敬意を払って介護しよう

高齢者や施設利用者さんに対して、ひとりの大人として接することが尊厳を支えることにつながります。

介護スタッフは、高齢者や施設利用者さんと話すときは、ひとりの大人として丁寧に応対することが大切です。「伝えても覚えていないだろう」などと必要な情報を伝えずに流すようなことはせず、都度丁寧に説明します。物事を決めつけずに利用者さんの話を聞き、受け入れる姿勢でいることも重要でしょう。

このような心がけは施設利用者さんとのコミュニケーションを円滑にして、利用者さんの意思が聞き取りやすい環境をつくることにもつながるでしょう。

相手の気持ちを尊重して介護をしよう

介護をする際は、高齢者や施設利用者さんが「ご自身で判断・行動できるようサポートする」ことも大切です。介護スタッフの先入観や合理性を優先して物事を決めたり、流れ作業のように介護したりするのは避けたいところ。

高齢者や施設利用者さんの意思を確認してから活動に移ったり、ご本人にできることは任せたり、ご自身で判断して行動するチャンスを奪ってしまわないよう配慮しましょう。

尊厳を支える介護とは、教科書のように正解があるものではありません。利用者さんに合わせて柔軟に対応していきたいですね。

ときには立ち止まって介護について考える時間を作ろう

尊厳を支える介護とは高齢者や施設利用者さんが「自分らしく、あるべき姿」でいられるよう配慮しながら介護していくことです。時間に追われ、業務遂行を重視して仕事をしていると、無意識に相手の尊厳を傷つけていることがあるかもしれません。ぜひご自身の仕事の進め方を考え直す機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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