介護ロボットとは何か?種類や導入のメリットについて

介護現場への介護ロボットの導入が推進されていることをご存知でしょうか?少子高齢化に伴い、介護現場の人手不足が懸念されているためです。問題解決のために、政府が掲げた「日本再興戦略」によって、介護ロボットの開発実用化の取り組みが始まりました。では、介護現場に導入される介護ロボットとは、具体的にはどういうものを指すのでしょうか。今回は、介護ロボットとはどういうものか、介護ロボットの種類や導入のメリット、そして課題について紹介します。

そもそも介護ロボットとは?

まず、介護ロボットとはどういうものなのか、厚生労働省の定義を見ていきましょう。ロボットの定義は、以下の3つの要素を持っている必要があり、さらに知能化した機械システムでなければなりません。

  • 情報を感知する
  • 判断する
  • 動作する

これらの技術を応用した上で、利用者さんの自立支援や介護スタッフなど介護者の負担を軽減できる介護機器を「介護ロボット」と呼びます。

介護ロボット開発にかかわる国からの支援は、介護ロボットを開発する企業だけではありません。介護ロボットを導入する介護施設を対象とした補助金制度を設けるなど、介護現場に対する支援も実施。試作機器を介護現場で実証できるように、実証支援の仲介をすることもあります。

介護ロボットの種類

介護ロボットと聞くと、人型のロボットをイメージする方もいるかもしれません。実は介護ロボットには6つの種類があり、種類に合わせて開発と導入を支援しています。手のひらサイズの介護ロボットがあったり、要介護者に機器を装着して作業を楽にしたりするものも。ここでは、介護ロボットの種類について見ていきましょう。

移乗介助機器

利用者さんを車椅子に移乗したり、ベッドから起こしたりする際に使う機器のことです。装着タイプと非装着タイプに分かれており、装着タイプは介護スタッフが装着してパワーアシストを行います。非装着タイプは、電動ベッドなどのように備え付けで使える機器のことです。

移動支援機器

屋内や屋外への移動をサポートするための機器。屋外・屋内・装着の3タイプに分かれています。屋外用の機器は、荷物を安全に運べるようロボット技術を搭載し、歩行支援を行うものも。

屋内用の機器は、利用者さんの立ち・座りの動作をサポートしたり、トイレへの移動をサポートしたりします。装着タイプは、利用者さんの足などに装着して、歩行を補助・転倒を予防するための機器です。

排泄介助機器

排泄時のサポートをする機器で、排泄物処理・トイレ誘導・動作支援に分かれています。排泄物処理は、設置位置を調整できるロボット技術を使ったトイレのこと。

トイレ誘導では、ロボット技術を使って排泄のタイミングを予測しトイレへ誘導します。動作支援は、トイレでの衣類の着脱やトイレからの立ち・座りなどをサポートする機器です。

見守り・コミュニケーション

利用者さんの様子を見守ったりコミュニケーションをとったりする際に利用する機器のこと。施設・在宅・生活支援に分類されています。施設では、施設内にセンサーなどを設置することで、利用者さんが離床していないかなどの確認が可能に。

在宅タイプも、施設と同じような機器によって、センサーを設置することで転倒を検知。電気が点くなどの動きが確認でき、検知した内容は介護スタッフや家族のスマホへ自動的に送信されます。

生活支援では、利用者さんとのコミュニケーションに特化したロボット技術を活用。利用者さんが会話やレクリエーションを楽しむために使われるロボットです。

入浴支援機器

利用者さんの入浴を支援する機器のことです。ロボット技術を使って、浴槽への出入りをサポート。浴室での転倒を防いだり、介護スタッフの負担を減らしたりする効果が期待できます。

介護業務支援

介護現場で利用したロボット技術の情報を収集・蓄積して、利用者さんに必要なサポートができるように情報をまとめる機器のことです。さまざまな情報を集約し蓄積するにより、利用者さん一人ひとりに最適な介護サービスを提供できるようになります。

介護ロボットを導入するメリット

介護ロボットを導入すれば、利用者さんにも介護スタッフにも大きなメリットがあるでしょう。利用者さんは、「介護をしてもらっている」という気持ちを持ちやすく、介護スタッフに対して「申し訳ない」や「恥ずかしい」と感じる場合もあるようです。

介護スタッフに関してもメリットはあります。利用者さんは高齢者であっても大人と同じ体格。抱きかかえたり、支えたりする作業は重労働となります。

介護ロボットを使うことで、両者の身体的・精神的負担の軽減できるというわけです。

介護ロボット導入の課題とは

介護ロボットは便利ですが、まだ介護現場に普及していません。導入にかかるコストが高い・操作になれるまでに時間がかかる・保管や設置スペースの確保が難しいなど、複数の課題があるためです。

介護ロボットの普及が皆の幸せにつながる

介護ロボット導入に関する課題がクリアされれば、介護スタッフの負担が減ります。負担が減れば、空いた時間を資格取得のための勉強時間にあてたり、利用者さんに必要な介護を見直したりするなど、スキルアップや介護の質を良くすることも可能に。介護ロボットとは、利用者さんも介護スタッフも幸せにする機器といえるのではないでしょうか。今後の介護ロボット開発や普及に期待したいものです。

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