【介護現場の労災事例】予防するための対策法とは?

業務上で生じたケガや病気などは、労災保険で認められると一定の給付を受けられることがあります。介護現場で発生するケガや病気なども、例外ではありません。この記事では、労災保険とは何か、また介護現場の労災事例についても解説。過去どのようなときに、労災認定されてきたのかについても見ていきます。また、労災事故を防ぐ対策についても確認してみましょう。

労災保険とは?

労災保険とは、業務中または通勤中などにケガ・病気・障害または死亡した場合に、その労働者や遺族に必要な保険給付が行われる制度です。正式名称は、労働者災害補償保険といいます。適用される災害は、以下の3つです。

<労災保険で適用される災害の種類>

業務災害業務中に労働者が負ったケガ・病気・障害または死亡のこと
複数業務要因災害複数の事業場で働く労働者の方が対象で、ストレスをはじめとした業務負荷で生じた傷病のこと
通勤災害通勤中に追ったケガ・病気・障害または死亡のこと

介護現場での労災事例

介護現場でも、労災に認定される事例はいくつかあります。ここでは、具体的な介護現場での労災事例について見ていきましょう。

転倒・腰痛・腱鞘炎など

介護現場の労災事例として多く挙げられるのが、転倒や腰痛です。とくに腰痛は、ベッドや車いすの移乗・入浴介助・トイレやおむつ介助など、前傾や中腰姿勢で行う動作により発症する方も多いでしょう。
介護業務における次の腰痛は、労災認定の対象になっています。

  • 災害性腰痛:業務中の突発的なケガによる生じた腰痛

 (例:体の大きな利用者さんを支えきれずに、腰に大きな力がかかった)

  • 非災害性腰痛:慢性的な腰の負荷により発症した腰痛

 (例:入浴介助を3ヶ月以上継続していたことにより腰に痛みが生じた)

非災害性腰痛の場合は、医師から「介護業務が原因で療養の必要あり」と診断されると、労災に認定される可能性があります。また、腕や手首などに負担がかかる業務を6ヶ月以上行ったことが原因で腱鞘炎になった場合も、労災認定される可能性があるでしょう。

交通事故

介護現場の労災事例の中には、利用者さんのご自宅へ向かう途中や送迎中の交通事故も含まれています。厚生労働省が公表する「社会福祉・介護事業における交通労働災害の発生状況」によると、次のように一度に3人以上の労働者が被災する重大災害もあったようです。

  • 送迎中にカーブを曲がりきれず電柱に激突し、3人が負傷
  • ワゴン車での送迎中に、信号がない交差点でトラックと衝突、利用者さん1人死亡、労働者3人が負傷
  • 訪問先への移動中に、信号のない交差点で乗用車と衝突し、3人が負傷

なお、介護現場の労災では、11時台と16時台で交通事故が発生する事例が多いというデータが示されています。

ウイルス性の感染症

介護現場での労災事例には、ウイルス性の感染症も入ります。過去には、介護職が新型コロナウイルス感染症にり患した際に、労災に認定された事例がありました。また、どの業務で感染したかなど原因が明らかであれば、疥癬(かいせん)などの皮膚感染症が労災認定されることもあります

利用者さんからの暴力

介護現場の労災では、認知症の周辺症状により暴力的になった利用者さんによって介護職が負傷する、といった事例もあります。こうした際も、事業主の管理下で勤務していたことが認められれば、労災認定される可能性があるでしょう。万が一利用者さんからの暴力によって負傷した場合は、具体的な状況や業務との因果関係を正確に把握・証明できるよう記録することが大切です。

精神障害

精神障害は、仕事などのストレスが原因で発病する症状です。介護職の労災事例にも、うつ病など精神障害のケースは含まれています。精神障害の労災認定では、とくに重大事故につながると判断される次の5つのケースで認められることが多いようです。

  • 重度の病気やケガをしたことが原因のとき
  • 他者に重大な病気やケガを負わせてしまったことが原因のとき
  • ミスが原因で会社経営などに重大な損失を与え、事後対応にも追われたことが原因のとき
  • 退職を強要されたことが原因のとき
  • ひどい嫌がらせやいじめ、暴行を受けたことが原因のとき

これらはストレスが高い事柄と認められているため、精神障害の労災が認められやすいと考えられています。

労災事故を防ぐ対策とは?

ここからは、労災事故を防ぐ対策について見ていきましょう。

危険は「見える化」しておく

介護現場では、事故につながる危険が数多く存在します。そのため、転倒しやすい場所に注意喚起のステッカーを貼るなど、危険の「見える化」をしておくと事故のリスクを軽減できるでしょう。

KY活動に取り組む

KY活動とは、「K:危険」「Y:予知」の頭文字をとってつけられた活動です。業務開始前に介護職同士で、職場に潜んでいる危険を見つけるための話し合いの場を設けることなどをKY活動といいます。とくに危険なポイントは「重いものを運ぶ作業姿勢ヨシ!」など、指さし呼称をして確認していきましょう。

災害の原因を取り除く

災害の原因を取り除く活動としては「整理・整頓・清掃・清潔」の4S活動が推奨されています。4S活動が実施されていれば、感染症や転倒のリスク軽減につながるだけでなく、作業効率を高める効果も期待できるでしょう。

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介護現場の労災事例から対策法を知っておこう!

介護現場では、利用者さんの身体介護や職場環境などが原因で、労災が認められる事例がありました。介護職に多い腰痛なども、発症原因によっては労災として認められる可能性があるでしょう。介護現場の労災事例を知っておけば、防げる事故も少なくないです。この記事も参考に日々の業務を見直してみてはいかがでしょうか。

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