高齢者と「話が通じない・噛み合わない」…理由からひも解く対処法

高齢者と接するなかで、「話が通じないな…」「なんとなく会話が噛み合わない…」と感じることはありませんか?これには、ご年齢ならではの理由があります。本記事では高齢者に話が通じないと感じるときの4つの理由を解説。今日からすぐに実行に移せる対処法もご紹介していきます。介護の現場だけでなく、プライベートな場面でも役立つ内容です。ぜひ最後までご確認ください。

高齢者に話が通じないと感じる4つの理由

「高齢者に話が通じない」「会話が噛み合わない…」これらの現象は年齢にともなうさまざまな機能の低下が理由と考えられます。

聴力・視力の低下で話し手の意思が伝わりにくい

まず挙げられるのが、聴力や視力の低下です。70代では男性の5人に1人、女性の10人に1人が、日々の暮らしに影響する程度の難聴であるといわれています。

また、視力の低下で相手の表情や示されている資料がよく見えないといったことも。これらから、話を理解するのに苦労する、会話が聞き取れていないのに相槌を打ってしまう、といったことが起こり、「話し手の意思が伝わっていないな」と感じるのです。

注意力や理解力の低下で聞き漏らしが起こりやすい

注意力や理解力の低下も高齢者に話が通じないと感じる原因。加齢とともに処理できる情報量は減るため、会話のなかで聞き漏らしが生じやすくなるのです。一度に多くの情報を伝えると混乱してしまうこともあります。

判断力の低下で新しい情報を好まない

さらに、加齢とともに判断力が低下することから新しい情報を好まない方もいます。自分の経験や知識に基づいて話を進めようとするので、高齢者は話が長くなりがちです。「高齢者は思い込みが強い」「聞く耳を持ってくれない」と感じる原因でもあります。

認知機能の低下で不都合が生じる

認知機能の低下も理由のひとつ。認知症の中核症状により、過去の言動を忘れてしまったり、同じ話を繰り返してしまったり、理解力が低下したりします。これにより高齢者に話が通じないと感じてしまうのです。

意思疎通が難しいときの対応のコツ

「高齢者に話が通じない…」と感じるときは、ぜひ3つのコツを意識して会話を進めてみてください

<高齢者と話すときの3つのコツ>

・補聴器をつけているか確認する
・大きな声でハッキリと話す
・一度に多くを伝えない(シンプルに伝える)

まずは、高齢者が補聴器をつけているかどうか確認します。少しでも会話を聞き取りやすい環境を整えることが重要です。さらに、話しかけるときは大きな声でハッキリと言葉を発するよう心がけましょう。

会話の進め方にもコツがあります。ポイントは、一度に多くを伝えないこと。厳選した内容をシンプルな表現で、理解度を確かめながら伝えると会話がスムーズです。

認知症の方とのコミュニケーションのコツ

会話する高齢者が認知症の場合は、さらに考慮したい4つのコツがあります。

<認知症の方と話すときの4つのコツ>

・否定せず受け入れる態度で話す
・急かさずご本人のペースにあわせて会話する
・目線を合わせる
・ときにはジェスチャーも入れる

認知症の方との会話では、否定せず受け入れる態度を心がけましょう会話が進まなくても先を急かさず、ご本人のペースを尊重することも大切。自尊心を傷つけないよう気を配ることで、気持ちよくコミュニケーションが取れるでしょう。

相手と目線の高さを合わせることもポイント。見下ろすような体勢で威圧的な印象を与えてしまわないよう、ベッドや車いすを利用している高齢者との会話では特に気をつけます。さらに、会話にジェスチャーを取り入れると相手の記憶に残りやすいでしょう。

話が噛み合わなくてイライラしそうな時の対処法

高齢者との会話中、話が通じないことでイライラしてしまう場面もあるかもしれません。そんなときは、次のような対策をしてみましょう。

「5回は同じ話を聞く」など心構えを持って会話に臨む

高齢者の会話がうまく進まないときは、分かっていてもイライラしてしまうものです。同じような話が巡り会話が進まないというシーンもあるでしょう。そのようなときは、「5回までは同じ話を聞く」と心の中で決めてしまいます

あらかじめ決めておくと割り切ることができ、「また同じ話…」といったモヤモヤした気持ちがスッキリするものです。もし5回目以上となったら、さりげなく話題を変えてみましょう

アンガーマネジメントスキルを取り入れる

アンガーマネジメントスキルを取り入れるのもひとつです。怒りを感じたときに6秒間我慢して感情を落ち着かせる「6秒ルール」は取り入れやすい手法のひとつ。自身の怒りをコントロールできれば、相手を傷つける心配もありません。

▼過去記事はこちら

高齢者と話が通じなくても諦めないで

高齢者に話が通じないと感じるのは、身体機能や認知機能の面から見て仕方のないことです。会話が噛み合わない場合でも、高齢者を孤立させないことが大切。ぜひご紹介したコミュニケーションのコツやアンガーマネジメントスキルを取り入れながら、会話に臨んでみてください。

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