介護記録で気をつけたい用語を確認!NG表現を避けた書き方もご紹介

介護記録を書く際の注意として、専門用語や略語をできるだけ使用しないというポイントがあります。また、利用者さんの様子を表現する際にも言葉遣いに気を配ることが必要です。どのような用語が不適切で、どのような表現なら大丈夫なのか、判断に迷ってしまうケースもあるでしょう。この記事では介護記録でのNG用語やNG表現をピックアップし、それらを避けた書き方をご紹介していきます。

介護記録とは介護サービスの内容を残す重要な書類

介護記録とは、介護保険法によって記入と保管が義務付けられている重要な書類です。日々の介護サービスの内容や利用者さんの健康状態、様子などを記します。

介護記録は介護事業所の監査時にチェックされ、正当な介護報酬を得る際や、万が一の事故の際に状況の証明にもなる書類です。事務的な目的以外にも、スタッフ同士や利用者さんやそのご家族との情報共有のために活用されたり、ケアプランの見直しの際などに活用されたりします。

介護記録の目的についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

簡略化のためによく使われる略語をご紹介

介護記録を書く際の注意として、専門用語や略語はなるべく使用しない、というポイントがあります。耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、「すべての専門用語や略語が不可なのか?」というと、そうではありません。介護記録は利用者さんのご家族など、介護・医療従事者以外の方も目にする機会がある書類のため、分かりやすさが重要です。略語を使用することで表現が簡略化されて分かりやすくなるケースもあるため、使用可とされている略語も多々あります。まずは、使用OKな略語をご紹介していきましょう。

介護記録で略語にすることで分かりやすくなる用語

略語簡略化前の用語
バイタル体温・血圧・脈拍数(心拍数)・呼吸数
ケアマネケアマネジャー
BTBody Temperature 体温
BPBlood Pressure 血圧
PRPulse Rate 脈拍数
HRHeart Rate 心拍数
Dr.Doctor 医師
Ns.Nurse 看護師
PEGPercutaneous Endoscopic Gastrostomy 胃ろう
IVHIntravenous Hyperalimentation 中心静脈栄養
訪室職員が利用者さんの居室を訪れること
自走車椅子を自力で動かすこと

これらの用語は一般的に介護記録で使用可能とされています。略語を使用すれば介護記録が分かりやすくなるだけでなく、記入の際も時短となるので、使用可能な略語は積極的に取り入れると良いでしょう。

使用を避けたい専門用語をご紹介

ここからは使用を避けたい専門用語をご紹介していきます。使用することで分かりにくくなってしまう専門用語と、言い換える際の例を表にまとめました。

介護記録で使用を避けたい専門用語と言い換え例

専門用語言い換え例
PTポータブルトイレ
ADL低下歩行が難しく車椅子を使用した
排泄介助トイレでズボンの上げ下ろしをお手伝いした
傾眠ソファで〇〇分ほどウトウトされていた…など
服用した、塗布した(薬を)飲んだ、塗った
全身清拭した身体全体を拭いた
レクに参加した〇〇のレクリエーションに参加した
介護拒否意思表示をされた

これらの専門用語は介護記録を書く際にできるだけ避けたい用語です。PTはポータブルトイレ(Portable Toilet)とも理学療法士(Physical Therapist)ともとれる用語で間違えやすく、ADL低下という用語は読み手によっては理解が難しいと感じるケースがあるでしょう。傾眠なども専門用語です。

また、「医学的用語」の使用にも注意しましょう。利用者さんの体調の変化を記す際に、状態を表す「腹痛」「頭痛」といった言葉を使用することは可能です。しかし、「胃炎」「肺炎」「打撲」など職員では判断できない病名を表すような用語は避けます。医師の診断があるまでは医学的用語や、医師の判断が必要な病名などは使用せず、状況や様子を書くのみにとどめることがポイントです。

状態や様子の表現するときに使用を抑えたい用語

介護記録を記入する際は、読み手に誤解を招くような表現や不快感を与えるような表現は避ける必要があります。特に気を配りたいのが、上下関係を連想させる「~させた」といった指示語の使用や、「ボケ症状」「勝手に~した」といった侮辱表現の使用です。利用者さんの人格を否定するような表現や、差別を連想させる用語を無意識に使用していないか気を配りましょう。

介護記録で使用を避けたい表現と言い換え例

避けたい表現言い換え例
しつこい〇〇分間隔で△△回…といった表現を使用
勝手にスタッフへの声かけなく、援助なしに自発的に
促したお勧めした
~させた〇〇したらどうかと声かけした…など
不穏落ち着かない様子
ボケ症状数分間○○を見つめたまま穏やかな表情でいた…など
徘徊〇〇から〇〇までの間を15分ほど往復されていた ひとり歩きされていた…など

介護記録には事実を記しますが、表現によっては読み手に不快な思いをさせてしまう場合もあります。利用者さんのご家族も読む機会があることを心に留め、思いやりのある書き方で記載しましょう

利用者さんの様子については、やわらかい表現を心がけることがポイントです。館内を徘徊していたケースなどでは、「〇〇から〇〇までの間を15分ほど往復されていた」、「施設内を散歩されていた」といった書き方にするとご家族の方が読んでも不快に思われません。

また、介護記録では事実が歪まないよう、主観は入れずに書くことが大切です。仮に利用者さんが介護職員を引っかいたとしましょう。この事実を記す際は、「利用者さんが怒って暴力をふるってきた」といった表現はせずに、「レクリエーションの時間に利用者〇〇さんが指先で介護職員の手の甲を跡が残る程度の力加減で掻いた」というように事実のみを記載します。

介護記録は使用する用語や書き方に気を配りましょう

介護記録は利用者さんのご家族も読むことがある大切な書類です。簡略化のために適度に略語を使用することは構いませんが、難しい専門用語の使用は避け、理解しやすい文章に仕上げることが大切です。記入する際は上下関係を連想させる指示語や、侮辱表現は使用しないよう気をつけましょう。ご紹介した言い換え例が参考になりますように。

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