介護施設におすすめの補助金・助成金5選!制度改定情報も

福祉・介護施設の維持・管理、人材確保・育成などには、大きなコストがかかりますよね。新型コロナウィルス感染症の影響もあり、経済的な打撃を受けている福祉・介護施設も少なくないでしょう。そこで上手く活用したいのが、国や自治体などが実施している補助金・助成金制度です。補助金や助成金は、基本的に返済義務がなく、事業運営の課題解決に役立ちます。本記事では、福祉・介護施設が使える2022年最新版の補助金・助成金をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

優秀な人材の確保に役立つ!キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の事業所内でのキャリアアップ促進を目的とした制度。正社員化、処遇改善など、スタッフのキャリア向上に関する取り組みを行った事業者に対して助成金が支給されるという仕組みです。キャリアアップ助成金には、取り組み別に設置された6コースがあります。各コースにおける内容変更後の概要は以下のとおりです。

  • 正社員化コースおよび障害者正社員化コース…有期雇用労働者などを正社員に転換・直接雇用した場合に支給される
  • 賃金規定等改定コース…有期雇用労働者などの基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に支給される
  • 賃金規定等共通化コース…有期雇用労働者などに対し、正社員と共通の職務に応じた賃金規定等を新規で作成し、適用した場合に支給される
  • 賞与・退職金制度導入コース…有期雇用労働者などを対象に賞与・退職金制度を導入し、支給・積み立てを実施した場合に支給される
  • 短時間労働者労働時間延長コース…有期雇用労働者などの週の所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に支給される

各コースとも助成金を受給する際には、まず、ハローワークや労働局などで意見を聞いて「キャリアアップ計画」を作成します。「キャリアアップ計画」がハローワークなどに認定され、実際に運用を開始する就業規定の改定方法を相談したうえで、支給審査を受け、可否が決定されるという流れです。

キャリアアップ助成金は、制度の見直しにより2022年4月1日から内容が一部変更されるので要注意!最新情報は、厚生労働省ホームページ「キャリアアップ助成金」で確認してください。

正規雇用前に適正を見極められる!トライアル雇用助成金

介護現場は、人材不足が深刻な課題となっています。介護未経験の方の入社も受け入れているという介護施設も多いのではないでしょうか。しかし、ときには介護施設側とスタッフの間に雇用のミスマッチが生じることも…。そんなトラブル回避に活用できるのが、トライアル雇用助成金です。

トライアル雇用とは、求職者の採用にあたり、正規雇用としての適正を判断する目的で、一定期間の試用期間を設けたうえで採用すること。職業経験の不足などにより介護施設などに就職が困難な求職者を、トライアルという形で雇用が可能となっています。仕事に適正があるかどうかを見極めたうえで正規雇用へと移行させることができるのです。

同助成金は、トライアル雇用としての雇入れの日から、月単位で3ヶ月間を上限として助成が行われます。同助成金には、一般トライアルコースのほか、2021年2月から新型コロナウィルス感染症対応のトライアルコースも用意。どちらのコースも、支給額は支給対象者1人あたり月額4万円です。

助成金の受給を希望する際にはまず、トライアル雇用開始日から2週間以内に、実施計画書をハローワークに提出。トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内に、ハローワークまたは労働局に支給申請書を提出します。詳しい申請方法などは、厚生労働省ホームページ「トライアル雇用助成金」をご参照ください。

介護福祉機器の導入に活用できる!人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)

人材確保等支援助成金とは、職場の設備や環境を充実させることで、人材確保や人材育成につなげる目的で事業者などが活用できる助成金です。同助成金にはいくつかのコースがあり、なかでも介護福祉機器助成コースは、主に介護事業者が活用できます。

助成金の対象となる介護福祉機器には、以下のようなものがあります。

  • 移動・昇降用リフト(人の移動または移乗に使用するものに限る)
  • 装着型移乗介助機器
  • 体位変換支援機器(エアマット・ベッドのうち、体位変換機能を有するものに限る)
  • 特殊浴槽(移動・昇降用リフトと一体化しているものや、リフトの取り付けが可能なものなど)

これらの機器について、要件を満たせば導入費用の20%(上限150万円)が支給されます。支給を希望する場合は、まず導入・運用計画書を作成し、管轄の都道府県労働局へ提出。認定を受けた介護福祉機器の導入・運用を行い、支給申請を行うことで助成金を受給できます。

詳しくは、厚生労働省ホームページ「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」で確認してください。

研修費用の助成を受けられる!人材開発支援助成金

介護施設で働くスタッフにキャリアアップの機会を与え、即戦力として活躍して欲しいと願う事業者も多いことでしょう。

そんな方に活用してほしいのが、人材開発支援助成金です。同制度は、計画的に人材育成を行う事業主に対して助成する制度。社員のキャリア形成を効果的に促し、業務に関連する専門的な知識およびスキルを習得させるための職業訓練の実施や、教育訓練休暇制度の適用などを行います。

例えば、介護職員の離職を防止するための教育訓練を行う必要があるという課題があるケースを見てみましょう。こちらの課題を抱える事業所では、職員に介護福祉士実務者研修を受けさせ、介護福祉士国家資格を受験させるという訓練を行いました。この場合、外部訓練機関の受講料に対する経費助成や、賃金が出ない訓練中の賃金助成金などが支給対象となります。

このように、人材育成のための明確な計画のもと、実施された場合に助成金が支給されるのが特徴です。同助成金は、人材育成が段階的・体系的に実施している事業主が対象。そのため、「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定・周知が助成金申請の要件となっています。

人材開発支援助成金は、訓練関連と制度導入関連に分けられており、その中でコースがいくつか用意されていることが特徴です。詳細は厚生労働省ホームページ「事業主の方のための雇用関係助成金」の一覧から確認してください。

介護施設内の設備の整備に役立つ!社会福祉施設整備補助金

社会福祉施設整備補助金は、厚生労働省の社会・援護局障害保健福祉部が管轄する制度。社会福祉法人などが施設を整備する場合に、国や都道府県より整備費の補助を受けられます。施設の整備には、耐震化や吹き付けアスベスト(石綿)の使用実態調査などが含まれるようです。

費用負担の内訳は以下のとおり。

費用負担者/設置主体
(社会福祉法人など)
1/4
1/2
都道府県1/4

民間事業者が設置する介護施設(社会福祉施設)に関しては、独立行政法人福祉医療機構によって、社会福祉事業施設の設置・整備などに必要な資金の融資も行われています。

同補助金の交付を受けたい場合には、事業所のある都道府県の福祉・介護関連を管轄する課に問い合わせてみてください。

魅力的な職場づくりに助成金や補助金を活用しよう

国の方針や情勢に対応させなければならないため、補助金や助成金制度の新設や廃止は頻繁に起こります。以前、活用したことのある制度であっても、内容や申請方法が変わっている場合も。厚生労働省ホームページなどで最新情報をチェックすることが大切です。職員に喜ばれる介護施設を目指し、補助金や助成金を役立ててください。

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