ケアマネジャーさんにインタビュー!介護事業所や関係機関とのパイプ役。仕事の魅力・やりがいとは?

利用者さんの自宅を訪問し、ご本人やご家族の思いを聞き出し、適切なケアプランを作成するケアマネジャー。今回は「介護相談室かがやき」(広島市)でケアマネジャーとして活躍する福間紀江さんにお話を聞きました。介護に欠かせないケアマネジャーの魅力ややりがいを語っていただきました。食事・排泄介助などの直接的な支援だけでなく、総合的な介護支援に興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

※インタビュー実施日:2022年7月

福間紀江(ふくま・のりえ)さんプロフィール
歯科衛生士として5年勤務後、デイサービスに勤務しながら、2017年にケアマネジャー(介護支援専門員)資格を取得し、同年「介護相談室かがやき」に入職。現在、広島市西区・東区を中心に、約40件を担当。
★ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?
ケアマネジャーとは、利用者さんに必要な介護サービスを見極め、介護サービス事業所と調整を行う専門職です。市区町村から依頼を受けて、利用者さんの自宅を訪問し、身体の状態や家庭環境などをチェック。調査結果をもとに、主治医や介護事業所の担当者などとやり取りしながら、ケアプランを作成します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)になったきっかけを教えてください

(福間さん)以前デイサービスに勤務していたとき、ケアマネジャーという職種を知り、「こういう支援の形もあるのだ」と興味を持ったのがきっかけです。介護現場での介助は体力が必要な部分も多いですが、ケアマネジャーであれば介護サービスをプランニングする形で介護に関われます。総合的な支援ができるところに惹かれて、資格の勉強を始めました。当時はデイサービスで食事・排泄介助などの通常業務をこなしながら、半年かけて毎日コツコツ勉強し、資格を取得できました。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容は?

(福間さん)ご自宅を訪問して、利用者さんやご家族の思いを聞き取ります。その上で必要な支援・介護サービスを見極め、ケアプランを作成するのが主な仕事です。
最近は、「老々介護」や「8050問題(はちまるごうまる問題/同居する50代の子供の生活を80代の親が支えている状態)」など、ご家庭内に問題を抱えているケースも多く、ケアプラン作成が難しいケースも少なくありません。またご家族の経済的な問題も大きいですね。必要なサービスを受けられるように、いつも試行錯誤しています。

現在は、広島市西区・東区を中心に、約40人の利用者さんを担当しています。介護サービスが始まったら、モニタリングのために定期的(月1回)に訪問し、介護サービスが適切かチェックします。介護度が重い方も多いので、途中でプラン変更することも珍しくありません。
「サービス担当者会議」では、その方が望む生活を維持するにはどうしたらいいかを、各専門職が話し合い、協力して対応します。今は「多職種連携」といって、1人の利用者に対し、各専門職がチームで対応することが主流です。ケアマネはその「ハブ(中心)」としての役割が求められているため、難易度が高くなります。

今の職場(介護相談室かがやき)は、同じ事業所内に訪問看護師や理学療法士などの専門職が在籍しているので、連携がとりやすいのがメリットですね。

ケアマネジャーの仕事で、いつも気を付けていることは?

(福間さん)ご家族にこまめに連絡を入れること、何か起きた時にすぐ対応することです。信頼関係を築くには、こまめな連絡が欠かせません。ご家族のほとんどが「連絡はLINEで」と希望されるため、連絡をするときはもっぱらLINEです。電話よりも自由度が高いですし、写真や動画も送れて便利ですよね。

新型コロナウイルスが流行してからは、ご家族が介護施設内に入れず面会できないことも多くなりました。そんなとき、ご本人の様子を動画で撮影してLINEで送ると喜ばれます。特に遠方に住むご家族の方は、心配して様子を知りたがっていますから。

最近は連絡手段も多種多様になってきたので、ご家族や事業所などいろいろな方とのコミュニケーションが取りやすくなった印象です。

(福間さん)最近ではタブレット(iPad)も活用して、利用者さんやご家族の様子などを細かく記録し、共有しています。担当件数が増えると、どうしても1件あたりにさける時間が少なくなります。そのため、意識して個別対応の時間を取り、丁寧に接することを心がけています。

在宅介護はご家族への負担も重いです。ご本人と同時にご家族の支援も必要なので、適切な支援をするために、広く情報を収集することも大切にしています。住み慣れた自宅で介護を受け、暮らし続けることだけがケアプランの目的ではありません。利用者さんが将来的に介護保険から「卒業」するために、「自立」を促す大切な役割も担っています。

ケアマネジャーの仕事のやりがいは?

(福間さん)利用者さんとご家族に信頼されていると感じるときですね。いつも試行錯誤の連続なので「これで良かったのだろうか」と不安になることもあります。ですが、信頼を寄せて任せてもらえると、「よかった。間違っていなかった」と思いますね。ケアプランをうまく立てるには、信頼関係の構築が欠かせません。だからこそ、一人ひとりへの丁寧な対応が大切になっていきますね。

これからケアマネジャーを目指したい方、興味がある方へのメッセージをお願いします

(福間さん)ケアマネの仕事は、利用者さんやご家族の意向と希望を丁寧に汲み取ることが何より大事です。コミュニケーション力は必須ですが、口下手だからとあきらめる必要はないと思います。口下手であっても、それを否定せず、自分の持ち味として肯定してみてください。うまくしゃべれなくても、人に対する「誠実さ」を出していければ、きっと相手にも伝わるはずです。

自分の性格や得意な分野をうまく生かして、自分のできることを一生懸命していくと、利用者さんやご家族にもきっと通じます。それでもうまくいかないときは、振り返って反省しつつ、「次はこうしてみよう」と前向きに考えてみましょう。

今はケアプランにも専門知識が必要です。看護師や介護福祉士、ヘルパーなどの「基礎職」を持つ方は、その知識と経験が必ずケアマネジャーの業務に役立ちます。既に基礎職の資格をお持ちの場合は、ぜひ仕事に生かしてほしいですね。

仕事の中で壁にぶつかったときは、「人に頼る」ことも大切だと思います。自分1人でケアマネジメントしているわけではありません。ケアプランを円滑に進めるためには、他職種の方との連携が大切です。一人で悩んだり抱え込んだりするのではなく「この問題はヘルパーさんに聞いてみよう」「リハビリのことは理学療法士さんに聞いてみよう」と、周囲にすぐ相談しましょう。1人ではなく、チーム全体で支えていくことが最善です。困ったとき助け合えるように、同じケアマネ仲間も大事にしてほしいと思います。

ケアマネジャー・福間さんのインタビューを終えて

デイサービスの現場から、ケアプランを作成する仕事へとステップアップした福間さん。誠実なお人柄から、いつも利用者さんやご家族と丁寧に向き合い、ケアに尽力されている様子が伝わってきました。介護の仕事には現場に立って介助するだけでなく、ケアマネジャーのように総合的な支援を行う職種もあります。責任が伴う仕事ですが、利用者さんが介護サービスを受けながら、その方らしく暮らす姿を見守っていけることもやりがいですね。介護の現場でステップアップしていきたい方は、ぜひケアマネジャーの資格も視野に入れてみてくださいね。

【介護相談室かがやき】

所在地広島市安佐南区祇園2-47-8
電話番号082-209-6641
公式サイトhttps://www.lsi-kk.co.jp/home-care-support/
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