【更衣介助】片麻痺・寝たきりの方への手順は?脱健着患がポイント

介護施設では、利用者さんの着替えをサポートする更衣介助のシーンがいくつもあります。更衣介助で大切なのは、正しい手順を知ることと、利用者さんの身体状態に合わせた方法で行うこと。基本ルールである脱健着患や注意点も把握しておくと、よりスムーズで安全な更衣介助につながります。「更衣介助で寝たきりの方を担当するとき、スムーズに行うための手順をマスターしたい」「片麻痺と寝たきり、それぞれの手順をおさらいしたい」そんな方に役立つ情報をご紹介しましょう。

更衣介助について

ご自身で着替えることが難しい方をサポートする“更衣介助”。片麻痺や寝たきりの方の場合は特に、手順を理解してから行わないと安全性を保つのが難しくなります。まずは更衣介助の基本ルールである“脱健着患(だっけんちゃっかん)”をチェックしましょう。

更衣介助の基本ルール!脱健着患とは

脱健着患は、麻痺のある方への更衣介助を行う際に必要となる基本ルールです。

脱健健側(麻痺なし)から脱ぐ
着患患側(麻痺あり)から着る

左右どちらかに片麻痺のある方を対象に行う脱健着患。着脱時の痛みや苦痛をなくし、スムーズに更衣介助を進めるための基本ルールです。手足の骨折または脱臼のある方に対しても脱健着患を意識する必要があります。

更衣介助前の注意点をチェック

更衣介助を行う際は、まず環境を整えることに注目しましょう。室温は適温に、更衣介助中の転倒・転落のリスクを考えて安全面も意識する必要があります。
また、衣類の選び方も注意点のひとつです。“着替えやすさ”に注目し、着脱が簡単な衣類やゆとりのあるサイズを選びます。更衣介助で寝たきりの方をサポートする場合は、前開きの衣類だと手順に沿って進めやすいでしょう。

更衣介助の流れ

続いて、更衣介助の流れをご紹介します。脱健着患を意識した“片麻痺の方の手順”と、なるべく体位交換の少ない更衣介助を意識した“寝たきりの方の手順”に分けてチェックしていきましょう。

【更衣介助】片麻痺の方の手順

座位の状態で、前開きの上着・ズボンを着替える手順です。基本ルールの脱健着患を意識しましょう。

<ズボンを着替える>

  1. 座ったままで、ズボンのウエストをできる限り下げます。利用者さんに左右のお尻を浮かせてもらいながらズボンを下げるか、可能であれば一度立ってもらうとスムーズです。
  2. 健側のズボンを足元まで下ろし、引き抜きます。患側も同じようにズボンを引き抜きましょう。
  3. 着替え用のズボンの裾をたくし上げ、介護職員が手を通します。そのまま利用者さんの患側の足を持ち上げて、ズボンを通しましょう。健側の足も同じように通していきます。
  4. 利用者さんご自身で、健側の手でズボンを引き上げてもらいましょう。お尻を左右に浮かせながら、少しずつ引き上げていくのがポイントです。
  5. ズボンをウエストまで上げ、整えたら完了です。

<上着を着替える>

  1. 上着のボタンをはずします。健側の肩をはずしたら、腕を袖から抜きましょう。
  2. 患側の肩をはずし、腕を袖から抜いたら脱衣が完了です。
  3. 着替え用の上着はあらかじめボタンをはずしておきます。まず患側の腕を袖に通したら、肩まで引き上げます。腕を通しやすくするために、事前に袖をたくし上げておくといいでしょう。
  4. 上着を利用者さんの背中側から健側の腕まで回し、羽織ります。
  5. 健側の腕を袖に通しましょう。このときも、袖をたくし上げておくと腕を通しやすくなります。
  6. ボタンを留めたら完了です。

【更衣介助】寝たきりの方の手順

寝たままの状態で、前開きの上着・ズボンを着替える手順です。

<ズボンを着替える>

  1. 利用者さんの膝を立て、身体を傾けながらズボンを下ろしていきます。片手で膝を支えて、もう片方の手でズボンを下ろすのがポイントです。
  2. 膝を伸ばして、足先からズボンを完全に抜きます。
  3. 着替え用のズボンを足先から通します。膝を立ててズボンを上げていきましょう。
  4. ももの下までズボンを上げたら膝を伸ばします。このあと、上着の更衣で利用者さんの身体を横向きにするタイミングでズボンをウエストまで上げたら完了です。

<上着を着替える>

  1. 上着のボタンをはずし、両肩を脱いだ状態にします。
  2. 利用者さんの身体を横向きにし、上側の腕を袖から抜きます。
  3. 脱いだ上着を利用者さんの背中の下に入れ、着替え用の上着の袖を通しましょう。利用者さんの腕に負荷がかからないよう気を付けることが大切です。
  4. 肩の下まで袖を通したら、上着の中心線と身体の中心を合わせます。
  5. 脱いだ上着が利用者さんの身体の下に入り込むように押し込んでいきます。
  6. 利用者さんの肩と膝を支えて一旦仰向けにし、寝返り介助をして反対側の更衣介助を進めます。
  7. 上側の腕を袖から抜きます。先ほど押し込んだ上着を手前に引っぱりながら、利用者さんの身体の下から引き出しましょう。
  8. 利用者さんを仰向けにし、腕を袖に通します。
  9. 利用者さんの肩を支えながら、肩まで完全に袖を通しましょう。反対側の肩も袖を通し、ボタンを留めたら完了です。

更衣介助では片麻痺・寝たきりどちらも手順の把握が大切

更衣介助の手順は、片麻痺と寝たきりで異なります。それぞれの手順をしっかり頭に入れ、スムーズに更衣介助を行いましょう。また、片麻痺・寝たきりどちらの手順においても、プライバシーへの配慮と皮膚状態のチェックが欠かせません。可能な限り利用者さんご自身にやってもらうことも意識して、コミュニケーションを取りながら進めてください。

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