介護職のよくある転職理由と再就職時に好印象な回答例とは?

介護職は介護施設やデイサービス、病院など、さまざまな場所で活躍でき、必要とされる職業です。就職先によって職場環境や収入などが大きく異なるため、より自分の希望に合った職場に転職したいと考える方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、介護職のよくある退職理由や、再就職の際に就職先の採用担当者に好印象を与えられる転職理由を紹介します。将来的に転職を検討している介護職の方はぜひ参考にしてください。

介護職の方が前職を辞めた理由ランキングトップ10

公益財団法人介護労働安定センターの「令和2年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」より、介護関係で働く方が前職を辞めた理由の上位10をご紹介します。

男女の割合は大きく異なるものの、「結婚・妊娠・出産のため」が辞めた理由の第1位でした。介護職で働く約3割の女性が、結婚・妊娠・出産を理由に退職しています。結婚や出産を機に引っ越し、通勤が難しくなることが理由で退職する方もいれば、妊娠・出産後、育児との両立が難しく、介護職から離れざるを得ない方もいるようです。

そして次に多い理由が、「職場の人間関係に問題があったため」です。介護職は、職場のスタッフの連携なくしては仕事が成り立ちません。その中で、同僚や上司との人間関係に亀裂が生じると、居心地が悪くなったり、仕事の意欲が削がれたりする方もいるでしょう。そのため、介護スタッフとして働いている職場の人間関係のもつれを転職理由とする方も多いようです。

その他、将来の見込みが立たなかった・収入が少なかった・他に良い職場や仕事を見つけたなどの理由も退職理由の上位にあがっています。一概には言えませんが、長く働いても昇給がない・昇進が期待できないといった職場もあるようです。そのため、将来への不安や生活の維持を転職理由に、より良い職場を求める方も多いのが現状となっています。

再就職で必ず聞かれる転職理由、どう答える?

介護職から介護職への転職の場合、必ず聞かれるのが転職理由です。なぜ再就職先の採用担当者は転職理由を聞くのでしょうか。それは、長く勤務してくれるか・職場の雰囲気に合うか・仕事への思いがあるかなどをチェックするためです。

まずは面接時に採用担当者の心証を悪くする可能性のある、ネガティブな転職理由の例をいくつか挙げてみましょう。

職場の上司が意見を聞いてくれず、不満に思ったから

前項の介護労働実態調査結果でも、職場の人間関係は介護職の退職・転職理由の第2位。人間関係を理由に転職する方が多いことは、面接官も当然知っています。

しかし、「上司が意見を聞いてくれず、不満に思った」などという表現は、前の上司への批判・悪口ととられてもおかしくありません。他の事業所や他人への陰口を言うことは、例えそれが真実であっても褒められたことではなく、印象が悪くなってしまいます。
また「不満に思った」という表現も、面接官に「不満に思うと簡単に辞めてしまうのでは?」という不信感を持たれてしまう可能性があります。

職場の雰囲気が合わず、続けられなかったから

今より良い仕事や職場を見つけたことを理由に転職する方も多いですが、面接時の答え方によっては、採用担当者の心証を悪くする可能性もあります。その表現とは、「職場の雰囲気が合わず、続けられなかったから」など、前の職場に対する不満を言葉にしたもの。この表現には、「前の職場の雰囲気が合わず、より自分に合った魅力的な職場だと思って御社を選んだ」という前向きな気持ちも含まれているのだと思います。しかし、場合によっては、その思いが面接官にうまく伝わらないかもしれません。

収入が低く、昇給の可能性もないから

この理由は、介護労働実態調査による退職理由の第4位にランクインしていました。特に男性は17.9%と、高い割合で収入の低さを理由に退職しています。男性は結婚し、子供をもうけると、一家の大黒柱としてより高い収入が必要になるケースが多く、収入を求めることは正当な転職理由です。しかし、介護職の収入の低さが不満ということだけを転職理由とすると、「給料にしか興味がないのか、仕事の内容はどうでも良いのか」と思われてしまう恐れもあります。

【例文あり】面接時はポジティブな転職理由で好印象を与えよう

再就職時の面接で重要なことは、ポジティブな表現に言い換えて伝えること。実際の面接時には多少の嘘にはなるかもしれませんが、採用担当者に長く勤務できる・職場の雰囲気に合う・熱心に仕事をしてくれると思わせられる表現に変換することがポイントです。では、好印象を与えられるポジティブな転職理由を回答例とともにご紹介します。

スタッフと心をともに協力して仕事をしたい

転職理由が「職場の上司が意見を聞いてくれず、不満に思ったから」の場合、上司が意見を聞いてくれず不満に思ったのは、皆で協力して仕事をしたいという思いがあったからこそ。この思いをポジティブ変換して、「スタッフと心をともに協力して仕事をしたい」という表現にすると好印象を与えることができるでしょう。

【例文】
前の職場では、決められた流れに沿って利用者さんのケアにあたっていましたが、経験を積むうちに、より質の高いケアを提供するための自分なりの考えが芽生えてきました。そんなとき、チーム制での教育や指導に力を入れ、介護スタッフ全員が一丸となってケアに当たる御社の姿勢に感銘を受け、より質の高いケアを学びたいと思い、退職を決意しました。

自分の仕事に対する思いが叶えられる職場で働きたい

前職の介護職の退職・転職理由が「職場の雰囲気が合わず、続けられなかったから」の場合を見てみましょう。「自分の仕事に対する思いが叶えられる職場で働きたい」という表現に変換することで、ポジティブな印象を与えることができます。
合わなかった・続けられなかったなど、否定形の言葉を使用しないことがポイントです。

【例文】
介護職で5年間働いてきましたが、一人ひとりの利用者さんに対し、より時間をかけてケアしたいと考えるようになりました。この思いが叶えられる職場で働きたいと思ったことが、前職を退職した理由です。

自分の仕事が正当に評価される職場で働きたい

退職理由でよくある「収入が低く、昇給の可能性もないから」の裏には、自分の働きに見合った評価をして欲しいという思いがあるはずです。この思いを印象良く伝えるためには、「自分の仕事が正当に評価される職場で働きたい」という表現に変換するのがおすすめです。「収入が低い」などの露骨な表現は避けましょう。

【例文】
介護職としてのキャリアアップを目指し、レクリエーションや介護福祉士の資格を取得しました。これらの保有資格に応じて正当に評価される職場で働きたいと考え、以前の職場を退職しました。

介護職の転職理由はポジティブに変化するのがポイント

介護職でよくある退職理由は、人間関係のもつれや収入の低さ、他に良い職場・仕事が見つかったなど。これらを理由として就職活動を行う方も多いと思いますが、面接の際に本心のまま退職理由や転職理由を伝えると、採用担当者の心証を悪くしてしまう可能性もあります。そのため、否定系の表現をなるべく使用せず、ポジティブな表現に変換し、面接へ挑みましょう。

この記事をシェアする