「看取りケアパートナー」はどんな資格?試験内容や難易度を徹底解説

看取りケアパートナーは、利用者さんの看取り介護に活用できる民間資格のことです。人の終末期に寄り添う資格であり、利用者さんの希望するその方らしい最期をサポートする役割もあります。近年、看取りケアの重要性が注目されており、ニーズが高まりつつある資格の1つです。そこで今回は、看取りケアパートナーとはどういう役割があるのか、資格の難易度や取得のメリットや、終末期ケア専門士との違いなどについて紹介します。

看取りケアパートナーとは?

「看取りケア」とは終末期を迎えるの方へのサポートのことです。身体的・精神的な痛みや不安を緩和し、人としての尊厳を保ちながらその方らしい最期のそのときを迎えられるよう支援します。また、残されるご家族への精神的なサポートも大事な役割です。

ここでは、看取りケアパートナーにはどんな役割があるのか、なぜ看取りケアパートナーが必要なのかなどを詳しく見ていきましょう。

看取りケアパートナーの役割

看取りケアパートナーとは、死期が近づいた方のサポートを行うため、看取り介護にまつわる知識やスキルを習得するための資格です。

終末期には、身体的苦痛を感じたり精神的に不安定になったりすることがあります。看取りケアを行うには、そのような辛い状態をやわらげ、利用者さんが最期まで尊厳ある生活ができるようにケアする役割があるのです。

看取りケアパートナーの資格を取得すれば、終末期の方の脈拍の測り方や痛みの緩和方法だけでなく、社会保障制度の手続きの方法など幅広い知識を身につけられます。

なぜ看取りケアが注目されているのか?

次に、看取りケアパートナーなど看取りに関する仕事が注目されている背景について見ていきましょう。国立社会保障・人口問題研究所が令和5年に発表した「日本の将来推計人口」によると、高齢化に伴って年間の死亡者数が増加傾向にあり、2040年には約167万人とピークを迎えるされています。

死亡者数の増加に伴い、問題となるのは病床不足です。多くの方が亡くなるときに病床不足が起きると、治療や介護サービスを受けられる利用者さんが限られてしまいます。

「人生の最期は住み慣れた自宅で暮らしたい」、「自分らしく最期を迎えたい」と考える利用者さんもおり、在宅を含めた看取りケアに注目が集まっているのです。

終末期ケア専門士との違い

終末期ケア専門士は、臨床ケアのスペシャリストとして、最期を迎える方に対しエビデンスにもとづくケアを行うための資格です。看取りを行う点では看取りケアパートナーも同じですが、受験資格の有無が異なります。看取りケアパートナーの資格取得には特別な資格は必要ありません。一方、終末期ケア専門士の受験には、看護師や介護福祉士など医療・介護系の専門資格を持ち、2年以上の実務経験が必要です。

なお、終末期ケア専門士は3つに分かれており、自身の働き方に合わせてステップアップすることが可能。具体的には、臨床での活躍が期待される終末期ケア専門士、組織における管理的役割を備える終末期ケア上級専門士、地域に根差したアドバイザーの役割があるJTCAアドバンスインストラクターがあります。

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看取りケアパートナーになるにはどうすれば良い?

看取りケアパートナーは、一般社団法人「みんなのプライド」が実施している民間資格です。資格取得までの流れや試験内容、難易度について見ていきましょう。

試験内容

資格取得には、「ユーキャン」の通信講座を受講する必要があります。資格取得までの流れは以下の通りです。

1.通信講座を申込み、学習
2.添削課題を提出
3.認定試験を受ける
4.合格

メインテキストで「看取りとは何か」や、「死との向き合い方」、「看取りケアで必要な技術や環境づくり」などを学びます。また、国や地方自治体の制度や救急車を呼ぶときのトークフローなども習得可能です。初心者でもわかりやすいように構成されており、最短3ヶ月程度で合格することも可能といわれています。

難易度

2回の添削課題を提出後、認定試験に挑戦して100点満点中70点以上得点できれば合格です。万一不合格の場合も、受講期間内であれば2回まで再試験できます。マークシート方式で、自宅で受験できるため、難易度は比較的低いと言えるでしょう。

看取りケアパートナーの資格を取得するメリット

看取りは資格がなければ行えないケアではありません。しかし、専門的な知識を習得することで、看取りケアをスムーズに行えるメリットがあります。ここでは、看取りケアパートナーの資格を取得するメリットについて見ていきましょう。

看取りの知識を得られる

看取りケアパートナーの資格取得の勉強をすることで、看取りケアの知識を得られます。「どうしてそのようなケアを行うのか」という背景を含めて理論的に学べるため、適切な対応ができるようになるでしょう。

また、ホスピスのように看取りケアが頻繁に行われる施設で勤務する方は日々経験を積めますが、一般的な介護施設などで働く方はなかなか経験を積めないことも。

看取りケアパートナーの勉強をすることで知識を得られ、いざというときに備えられるでしょう。

緊急時の対応を身につけられる

看取りケアパートナーは人生の最期に寄り添う方であるため、利用者さんの急な体調の変化を察知して緊急時の対応をしなければならないシーンがあります。

看取りケアパートナーの資格を取れば、脈や呼吸の測り方、救急車を呼んだ際のトークフローなどを学ぶ機会があるため、緊急時にも役立つのです。

家族の万一にも備えられる

看取りケアパートナーとして得た知識や技術は、勤務先の利用者さんだけに提供するサービスではありません。人の看取りは、他人だけではなく家族でも起き得ることです。

看取りケアパートナーの知識や技術を活かせば、身近な方の最期をサポートするときにも活かせるでしょう。

仕事に活かせる

終末期の利用者さんのケアを行う施設であれば、看取りケアパートナー資格で得た学びを最大限活かせるはずです。デイサービスなど通所型の介護施設では、知識や技術を発揮する場はあまりないかもしれませんが、万一のときには重宝されるでしょう。

資格取得の前に看取りケアの知識を深めるには?

最後に、看取りケアパートナーに興味はあるものの「資格取得の前に知識を深められないものか」とお考えの方におすすめの方法を紹介します。

看取りケアの研修会に参加する

全国各地で看取りケアにまつわる研修会が行われています。興味がある方は、自治体や公的機関が主催する研修会に参加してみると良いでしょう。

自治体や公的機関以外でも看取りケアに関する研修会を開催しているケースもあるため、いろいろと情報収集することで自分にとって参加しやすい研究会を見つけられるはずです。

本を読む

「まだ研修会に参加するのはちょっと…」と感じる方は、看取りをテーマにした本を読んでみると良いでしょう。さまざま書籍が販売されているため、まずは初心者でもわかる内容のものを選ぶようにしてください。

関連する資格を取得する

終末期のケアに興味がある方は、看取りに関連する資格を取得するのもおすすめです。終活について学べる終活アドバイザーや、前述した終末期ケア専門士などがあります。

予防的観点から介護予防健康アドバイザーといった福祉サービスに関連する資格を目指すのも良いでしょう。

終末期に寄り添うエキスパートになれる

看取りケアには資格は不要ですが、看取りケアパートナーの資格を取得することで、よりきめ細やかなケアができるようになります。利用者さんが希望する最期を実現し、できるだけ快適に過ごしていただくサポートをするために、終末期ケアに興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

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