介護口腔ケア推進士とは?資格取得のメリットや試験の難易度など

介護口腔ケア推進士は、介護や看護の現場で活躍する口腔ケアのスペシャリスト。要介護者に対して口腔ケアを行うことは、誤嚥性肺炎の予防やQOL(生活の質)の向上にも役立つため、介護業界で今注目を集める認定資格のひとつです。そんな介護口腔ケア推進士について、資格取得のメリットや検定試験の難易度、受講料などを詳しくまとめました。仕事の幅を広げたい、スキルアップしたい介護職の方は、ぜひ参考にしてください。

【簡単に解説】介護口腔ケア推進士の資格とは?

介護口腔ケア推進士は、「一般社団法人総合健康支援推進協会」という協会団体が定める認定資格です。介護関係資格の強化を目的として、2014年に開始されました。

老後に快適な生活を送るためには、「美味しく楽しく食べる」ことが基本。人は食べることによって栄養を摂取し、免疫力を高め、体力を養うことができます。この「美味しく楽しく食べる」をサポートすることが介護口腔ケア推進士の仕事です。

介護口腔ケア推進士は、口腔ケアの正しい知識と優れた技術を持つことを証明する検定資格として介護業界で大変重宝されています。

介護口腔ケア推進士の資格取得のメリット

介護口腔ケア推進士の資格を取得すると、施設の利用者さんにとってはもちろん、介護者にとっても大きなメリットが期待できます。それぞれ解説していきましょう。

口腔ケアを受ける要介護者のメリット

介護口腔ケア推進士の資格を取得し、要介護者に対し口腔ケアを行うことは、「自分の口で美味しく食べられる」をサポートできるだけでなく、以下のメリットがあると言われています。

  • 誤嚥性肺炎の予防
  • QOLの向上
  • 口臭の改善
  • 健康状態の維持 など

特に誤嚥性肺炎は、介護の現場で特に気を付けなければならない病気のひとつ。嚥下機能の低下した高齢者や寝たきりの方に多く発生します。そんな誤嚥性肺炎も正しい口腔ケアで予防できることは大きなメリットと言えるでしょう。
また「いつまでも自分の口で美味しく食べる」ということも、要介護者のQOL向上に大いに役立ちます。

ここで豆知識をひとつ。介護事業所が算定する加算の中に、口腔衛生管理加算というものがあります。これは医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護施設などの利用者さんに対し、口腔ケアを月2回以上行った場合に90単位/月が加算されるというもの。この加算からも、国が高齢者への口腔ケアを重要視していることがよくわかります。

口腔ケアを行う介護者のメリット

介護口腔ケア推進士の資格を取得することで得られる、介護者側のメリットをいくつか挙げてみましょう。

  • 口腔ケアの正しい知識と技術が身に付く
  • 介護現場で知識と技術を大いに活かせる
  • 要介護者が自身で食事を摂れるようになることで、介護者の負担が軽減される など

高齢者に食べる喜びや健康を提供できることは、介護現場で働く方にとって何よりの喜びではないでしょうか。また要介護者が自分自身で食事が摂れるようになることは、介護スタッフだけでなく、そのご家族にとってもメリットになります。

介護口腔ケア推進士検定試験の受験資格は?

介護口腔ケア推進士検定試験は、受験資格に制限はなく、年齢・学歴問わず誰でも受験することができます。なお、介護口腔ケア推進士検定資格はCBT試験(コンピュータを使用する試験)ユーキャンによる通信教育団体受験などで取得することができます(2021年11月時点)。各試験の取得方法については、以下を参考にしてください。

  • CBT試験…Computer Based Testingの略。試験会場に設置されているパソコンで、マウスを用いて解答する試験です。
  • ユーキャンによる通信教育…3ヶ月の通信教育で検定試験まで受けることができます。自宅で検定試験が受けられるのが特徴。
  • 団体受験…介護施設・教育機関などで、まとまって受験できる制度。企業・組織・施設などの10名以上の団体であれば、全国どこでも受験可能です。

ちなみに、介護口腔ケア推進士の試験に合格し、認定証を持っていること・試験と同時開催される「上級 実践的な口腔ケア研修会」を受講することの2つの条件をクリアすると受験できる「介護口腔ケア推進士上級」という検定試験も登場しています(2021年12月に第4回実施)。こちらは名称どおり、介護口腔ケア推進士としてさらに深い知識と高いスキルを身に付けることができる上級試験です。

介護口腔ケア推進士検定試験の合格率や難易度は?

「一般社団法人総合健康支援推進協会」の公式HPを確認したところ、直近の合格率は公表されていませんでした。合格基準については、総得点の7割を基準とし、難易度に応じて補正した点数以上を獲得した者と記載されています。また、試験問題のサンプルとして2問ほど確認することはできますが、過去問題も公開されていません。

ただし、試験問題は「介護口腔ケア推進士試験公式テキスト」の内容をしっかり読んで勉強していれば合格できるように出題されているそうです。難易度としては決して高くなく、チャレンジしやすい検定試験と言えるでしょう。また、当資格には更新制度がないため、1度認定を受けさえすれば、以後継続的に介護口腔ケア推進士として活動することができます。

介護口腔ケア推進士検定試験の受験料は?

介護口腔ケア推進士検定試験の受験料は、個人受験・団体受験で料金が異なります。

個人受験(CBT方式)…8,460円(税込)
団体受験(マークシート方式)…8,000円(税込)/1名

なお、団体受験(企業・施設内受験)の場合、出題形式がCBT方式ではなく、マークシート方式のペーパー試験となることには注意が必要です。

試験日程や申込期間など、その他の試験概要を知りたい方は協会公式HPを参照してください。なお、第26回の検定試験は2021年1月10日(日)~12月26日(日)の期間で実施されています。

介護口腔ケア推進士になって高齢者の健康維持をサポート

高齢者への口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防やQOL向上などのさまざまな効果が期待できる重要なもの。そのため、口腔ケアの正しい知識と技術を習得できる介護口腔ケア推進士は、介護業界で働く方にとって大変有用な資格と言えるでしょう。受験資格はなく、年齢・学歴・職業問わず誰でも検定試験を受験することができます。ぜひチャレンジしてみてください。

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