お泊りデイサービスとは?サービスの内容や費用についてくわしく解説

要介護者数の増加に伴い、介護サービスはどんどん多様化しています。日中のデイサービス利用者さんが、そのまま通所介護施設に宿泊できる「お泊りデイサービス」もそのうちのひとつ。ご家族の負担軽減や利用者さんの気分転換など、利用するメリットはいろいろあります。ここでは、まだあまり知らない方も多いサービスである「お泊りデイサービス」の内容についてくわしく解説します。サービスの導入を検討している方は参考にしてみてください。

【簡単に解説】お泊りデイサービスとは?

「お泊りデイサービス」とは、本来は日帰りで食事や入浴などの介助や機能訓練などのサービスを提供する通所介護(デイサービス)の施設に、そのまま宿泊ができる介護サービスのことです。特別養護老人ホームやショートステイなど宿泊できる介護施設は多数ありますが、空きがないため利用できないことも…。そんなときの代替案として、浸透しつつあるのがお泊りデイサービスです。日中のデイサービスは介護保険に基づいて提供されますが、お泊りデイサービスは介護保険が適用されないため、料金は全額自己負担となります。介護保険のサービスは、生活保護受給者も利用できますが、お泊りデイサービスは全額負担となるため注意が必要です。

お泊りデイサービスは、介護保険適用外の自主事業として扱われるため、明確に定められた運営基準がなく、人員配置や施設基準などのサービス内容は各事業者に一任されていました。そのため、事業者にとっても開業しやすいという側面から、お泊りデイサービスを提供する事業者は増加傾向にあります。一方で、介護保険適用外ということから、消防設備を備えていない・夜勤職員が足りないなどの問題が発生したことで、厚生労働省は2015年にお泊りデイサービスに関するガイドラインを発表。しかし、このガイドラインに強制力はなく、運営基準を満たしていないからといって違法になることもありません。例外として、自治体によっては明確な運営基準を設けている地域もあります。

提供するサービス内容とは?

お泊りデイサービスではどのような内容のサービスを提供しているのか紹介します。

食事の提供

ガイドラインによると、食事に関しては、栄養並びに利用者さんの心身の状況や好みに配慮した食事を適切な時間に提供すると示されています。多くのお泊りデイサービスでは、夕食と朝食の1泊2食つきが基本です。食事内容は施設によって異なりますが、楽しみながら食事をとれるビュッフェ形式や一人ひとりに合わせた定食形式などで提供します。可能な限り離床してもらい、食堂などでの食事をサポートしましょう。

就寝前後の補助介護

介護については、利用者さんの心身状況に応じて、自立支援と日常生活の充実につながるよう適切な技術をもって行うと示されています。

就寝を伴うお泊りデイサービスでは、口腔ケアや着替え・入浴・洗顔・整容などを提供。口腔ケアは、食事に関する機能維持という観点からも重要であり、口の中を清潔に保つことは健康な生活にもつながります。食事後や就寝前後は特に注意して口腔ケアを行うようにしましょう。

着替えや入浴も日常生活の充実には欠かせないサービスです。入浴は、日中に行うデイサービスもあるため、お泊りデイサービスでは提供していないかもしれません。しかし、就寝前のサービスとして提供すると、利用者さんに喜んでもらえるでしょう。

職員の種類と人員配置などについて

お泊りデイサービスを提供する事業者は、サービスの提供内容について必要な人数を確保する必要があります。

さらに、サービス提供を行う時間帯を通じて、夜勤職員として看護職員または介護職員を常時1人以上配置しなければなりません。介護職員とは、介護福祉士の資格がある方か、実務者研修または介護職員初任者研修修了者が望ましいとガイドラインでは示しています。

施設の設備について

ガイドラインには、人員だけでなく施設の設備についても明記されています。
お泊りデイサービスの利用定員は、9人以下かつ日中のデイサービス利用定員の2分の1以下です。

宿泊室に関しては、基本的には個室を用意する必要がありますが、希望によっては2人でも利用もできます。個室の面積は、7.43平方メートル以上必要です。個室が用意できない場合には、1室あたりの定員は4人以下とし、パーテーションや家具などでプライバシーを確保できるような空間を作らなければいけません。利用者さんの希望や必要と判断した場合を除き、男女の同室は避けるよう配慮しましょう。

またガイドラインでは、非常災害時に対応できるよう、消防法によって定められている、火災報知器・消火器・スプリンクラーなどの防火設備を設置しなければならないとしています。保存食・水・懐中電灯など備品についても同様です。

利用期間について

お泊りデイサービスの利用期間について、ガイドラインには長期間とならないようにと示されており、自治体や施設によって異なります。お泊りデイサービスはあくまでも一時的な利用を目的としているため、長期間になる場合は、ケアプランの変更を提案することも必要でしょう。

お泊りデイサービスを提供する際のメリット・デメリットとは

最後に、お泊りデイサービスのメリットとデメリットを紹介しましょう。

メリット

お泊りデイサービスのメリットは、慣れた施設での宿泊であるため、環境の変化がなく利用者さんの精神的な負担の軽減が可能な点です。新しい施設は、利用者さんに大きなストレスとなり、疲労につながる可能性もあります。介護者の立場からしても、顔見知りの利用者さんだと、性格や介護の内容が把握できているため、サービス提供がしやすいでしょう。

デメリット

お泊りデイサービスのデメリットは、夜勤担当の職員の確保が挙げられます。夜も開業し十分なサービスの提供を行うためには、複数人の職員の確保が必要です。もともと人手不足が課題である介護業界において、本来、夜間のサービス提供を行っていない施設が新たにお泊りサービスを提供するのは、なかなか難しいでしょう。

お泊りデイサービスでよりよい介護サービスを

お泊りデイサービスは、ショートステイの利用がしたくてもなかなか予約が取れないという利用者さんにとっては、便利なサービスです。しかし、運営基準が明確でないことなど、事業者にとっては課題が多いサービスとも言えます。利用者さんはもちろん、介護者にとっても負担とならないような介護を提供することが何より大切です。

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