冬は脳梗塞に注意!厳しい寒さとの関係や前触れを知って素早く対応を

夏の暑さが年々厳しくなり、健康に影響を与えると問題視されていますが、冬の寒さにも注意が必要です。なぜなら、冬は高齢者の脳梗塞のリスクが高まる季節と言われているから。脳梗塞脳は血管が詰まることで身体機能の麻痺や死にも至る恐ろしい病気で、年齢を重ねると発症しやすくなると言われています。介護スタッフの中にも、冬場は特に利用者さんの様子に注意しているという方もいらっしゃるのでは?そこで今回は、冬の寒さと脳梗塞の関係について見ていきましょう。

冬の寒さと脳梗塞の関係とは?

まずは、脳梗塞とはどういう病気なのか、冬の寒さと脳梗塞がどのように関係しているのかを解説します。

そもそも脳梗塞とはどんな病気?

脳梗塞とは脳卒中の1つで、何らかの要因で脳内の血管が詰まることで起きる病気です。発症すると脳に障害が残って麻痺や失語といった障害が残ることも。脳卒中にはこの他に、脳出血やくも膜下出血などがあります。以前は脳出血によって亡くなる方が多かったですが、最近は脳梗塞の方が多いようです。

脳梗塞の原因の1つである動脈硬化は、高血圧や脂質異常、糖尿病などの生活習慣病により引き起こされます。これらの生活習慣病によって動脈硬化が進み、脳の血管が細くなったり詰まったりして起こるのが脳梗塞です。動脈硬化は、喫煙や飲酒によって促進することもわかっているため注意しなければなりません。

また、心臓でできた血栓が脳の血管を詰まらせることで発症する脳梗塞(心原性脳塞栓症)は、冬に多くなると言われています。

冬に高齢者の脳梗塞が起きやすい背景

国立循環器病研究センターが行った研究結果によると、脳梗塞の発症自体に季節差はあまりないものの、冬は他の季節に比べて75歳以上の高齢者の発症がやや多くなることがわかっています。

ではどうして冬に高齢者の脳梗塞が起きやすいのでしょうか?主な理由は以下の通りです。

  • 温度差が大きくなる
  • 水分補給が減り血液の粘度が高まる
  • 心臓にできた血栓が原因の心原性脳塞栓症が増える

暖かい部屋から急に寒い部屋に行くと、体内の熱をとどめようとして血管が収縮するため、血圧が高くなります。血圧の上下が大きいと心臓や血管に負担をかけることになるのです。

また、冬は寒いためにのどの渇きに気づきにくく、こまめに飲水しないことで血液の粘度が高まり、血栓ができやすくなります。心臓にできた血栓が不整脈によって血流に乗り、脳の血管を詰まらせるのが心原性脳塞栓症ですが、不整脈は冬に多く発症する傾向に。そのため冬は心原性脳塞栓症が起こりやすくなるのです。心原性脳塞栓症は突然発症して重症化し、後遺症が残ることが多いため問題視されています。

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脳梗塞の前触れを把握しておこう

脳梗塞などの脳卒中は、治療の遅れが命にかかわります。利用者さんの些細な変化を見逃さないためにも、脳梗塞の前触れについて把握しておきましょう。

運動障害

利用者さんに身体の片方だけ力が入らないという症状は見られませんか?

例えば、両腕を上げたままキープできない、茶碗や箸を持てない・落とす、歩くと傾いていく、顔の片方が下がるなどです。

感覚障害

「身体の片方だけ違和感がある」と訴える利用者さんはいませんか?

例えば、手や足の先がしびれる、感覚が鈍くなるなどです。

視覚障害

目の見え方が悪くなっている利用者さんはいませんか?

例えば、急に視野が狭くなる、物が二重に見えるなどです。

言語障害

利用者さんは普段通り言葉を話せていますか?

例えば、言葉が出てこない、ろれつが回らないなどです。

バランス障害

利用者さんはバランスを取れていますか?

例えば、立ったときにふらつく、足元がおぼつかない、めまいがするなどです。

冬の脳梗塞を防ぐ方法

最後に、冬の脳梗塞を防ぐ方法について紹介します。介護施設において対策が必要な箇所があれば、冬に備えて介護スタッフ同士で共有し改善しておくと良いでしょう。

異常を感じたらすぐに受診

治療の遅れが命にかかわるため、利用者さんの言動に異常を感じたら、すぐに病院や救急車へ連絡してください。脳梗塞の場合、治療が早ければ深刻な後遺症が残らないケースも。症状や発症時刻がわかればメモしておきましょう。

温度差を作らない

日頃からできる対策としては、施設内で温度差を作らないこと。トイレや浴室、脱衣室、廊下に小型ヒーターを設置してどこに行っても温度が一定であると安心です。

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こまめな水分補給

冬は寒いため夏のように水分補給が必要だと感じにくい傾向にあります。また、高齢者は体内の水分量が減っても「喉が渇いた」と認識しにくくなっていることも。そうすると、血液の粘度が高まってドロドロになり血栓ができやすくなります。

この血栓が脳の血管に入ったり、脳の血管で血栓ができてしまったりすると血管が詰まり脳梗塞に。こういった状況を防ぐためにも、利用者さんにこまめな水分補給を促しましょう。

「〇分ごとに水分補給を呼びかける」など介護スタッフ間で話し合っておくと良いかもしれません。

定期的な健康診断とともにできる対策を

冬は脳梗塞が起きやすい季節です。万一に備えるために、病院への連絡ルートの確認や施設内の温度差を作らないなど、脳梗塞を防ぐ対策をしておきましょう。早めの対処で命が救えることはもちろん、後遺症を防ぐことにもつながります。また定期的な健康診断や持病のチェックも大切です。利用者さんに合った対策を考えましょう。

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