高齢者の低体温症に注意!介護職として知っておきたい予防方法は

「熱中症は危険」という認識は広がっていますが、低体温症の危険性はあまり知られていません。しかし、低体温症が重症化してしまうと、命に危険を及ぼす可能性があります。低体温症は身体機能が衰えている高齢者に多く、冬場は特に注意しなければなりません。そこで今回は、低体温症について詳しく解説します。症状や予防法を把握しておき、トラブルを未然に防ぎましょう。

低体温症とはどんなもの?

低体温症は、深部体温が低くなった状態を指します。体温が低いほど死亡率が高まる危険な状態です。深部体温は体の中心に近い部分を測定したもので、脇の下などで測る皮膚体温とは異なります。平均の深部体温は、肝臓なら38.5℃、直腸なら38℃ほどと、皮膚体温よりも高いのが普通。深部体温が35℃以下になると、低体温症

低体温症は、深部体温が低くなった状態を指します。体温が低いほど死亡率が高まる危険な状態です。深部体温は体の中心に近い部分を測定したもので、脇の下などで測る皮膚体温とは異なります。平均の深部体温は、肝臓なら38.5℃、直腸なら38℃ほどと、皮膚体温よりも高いのが普通。[btp_line]深部体温が35℃以下になると、低体温症と診断されます。

と診断されます。

低体温症の症状は

低体温症になると、激しい震えや意識障害が生じます。体が震える理由は、体が熱を発生させようとする生理現象シバリングによるもの。意識はあるものの比較的長く身震いするような状態は、軽度の低体温症です。

低体温症が進み中程度になると、反対に震えは収まり、意識が朦朧としたり判断力が低下したりするなどの症状が見られるでしょう。さらに症状が悪化すると心拍や呼吸数の減少、血圧の低下などの症状が顕現。深部体温が28℃以下になると昏睡状態に陥り、命を落とす危険性が高まります。

低体温症での死亡者は

厚生労働省が発表している人口動態調査を見てみると、2022年に凍死(=低体温症)で死亡した方の数は、1,450人。熱中症は1,477人となっており、熱中症で亡くなる方と同じくらい低体温症で亡くなっている方がいることが分かります。

そのうち65~79歳は446人、80歳以上は773人と、凍死で亡くなった方の大半が高齢者です。低体温症は特に高齢者が注意したい疾患であるといえるでしょう。

高齢者は家の中で低体温症になることも

低体温症は極端に寒い屋外で起こるものと思われがちですが、屋内で低体温症になることも珍しくありません。例えば寒い部屋の中で長時間動かずにいるだけで低体温症になることもあります。特別なシチュエーションでなくとも起こるため、一人暮らしの高齢者は低体温症に注意が必要です。

高齢者が低体温症になるリスクは高い!その理由は?

低体温で死亡している方の大半は高齢者であることからもわかる通り、高齢者の方は特に低体温症に注意が必要です。その理由を確認していきましょう。

低体温症になりやすい持病がある

以下に挙げる持病を持っていると、低体温症になりやすいとされています。

  • 糖尿病
  • 甲状腺機能低下症
  • 心疾患、血液疾患

例えば糖尿病の場合、体温調節にかかわる自律神経の働きに影響が起こります。寒いと血管が収縮して体温を保つ働きが低下することに加え、低血糖になると意識を失う危険性があり、低体温症にならないよう注意が必要です。
甲状腺ホルモンも体温を調節する働きがあるため、病気により減ると熱が産生されなくなり低体温症になりやすいでしょう。心疾患や血液疾患も血流が悪くなるため、低体温症のリスクが高まります。

これらの病気がある高齢者の方は、低体温症の可能性も含めて注意する必要があるでしょう。

身体機能が衰えている

上記に挙げたような持病がなくても、高齢者は加齢により身体機能が衰えています。熱を生み出す作用がある筋肉量が減るなどの理由で、体温が低くなりがちです。加えて皮下脂肪が減り体の熱が放散されやすく、体温が下がりやすくなっています。

また、暑さや寒さの認識が乏しくなっており、低体温症の症状に気が付くのが遅くなりやすいという側面もあるでしょう。

気温が低い環境にいる

高齢者が低体温症になる代表的な理由は、気温の低い場所にいることです。冬の寒い時期に長時間外にいると、低体温症を発症しやすくなります。冬の山登りやマラソン大会といった状況がイメージしやすいでしょう。寒い場所で身動きが取れないと、自ら熱を生み出せず、低体温症に陥ります。

また、冬でも暖房器具を使わず過ごしている、災害時の避難所で暖が取りにくいなどといった場合は、室内でも低体温症になる可能性があるため注意が必要です。

低体温症の予防方法は?

低体温症の予防方法を確認しておきましょう。

室内温度は20℃以上にする

低体温症を防ぐには、室内環境を整えることが大切です。普段過ごす室内は、20℃以上に整えておきましょう。高齢者の方は寒さを感じにくい傾向があり、20℃以下でも特に違和感なく過ごせるかもしれませんが、実際は体が冷えていることも少なくありません。高齢者の方の体感温度に関わらず、室温は20℃以上になるよう調整しましょう。

体を動かす習慣をつける

体を動かして筋肉をつけるのも、低体温症の予防の一環です。筋肉には熱を生み出す作用があるため、適度な筋肉があれば体も冷えにくくなります。冬の運動は暖かい室内でできる体操やストレッチなどがおすすめです。気が向いたときに頑張るのではなく、日ごろから体を動かす習慣をつけ無理なく続けるのがベストでしょう。運動の習慣づけにより骨粗しょう症や腰痛などの予防にもつながります。

温かい飲み物やたんぱく質を摂る

温かい飲み物やたんぱく質を意識的に摂り入れるのもおすすめです。温かい飲み物は、体を内側から温めてくれます。温かい飲み物を摂取するおすすめのタイミングは、深部体温が低くなっている起床後。起きてすぐに飲むことで、効率的に体温を上げられます。

体の中で熱を生み出すたんぱく質を積極的に摂るようにすることも、低体温症予防に効果的です。たんぱく質も含め、栄養バランスのとれた献立を意識するといいでしょう。

入浴時には湯船に浸かる

湯船に浸かり体を温める習慣をつけるのもおすすめです。湯船につかると毛細血管が広がり血行がよくなるため、体温を上げることにつながります。無理のない範囲で構いませんが、血液が全身を巡る20分ほどぬるめのお湯に浸かるのが理想的。

ただし、入浴中は思った以上に汗をかきやすいため、脱水状態に陥りやすくなります。入浴の前後は忘れずに水分補給することも大切です。

低体温症かもと思ったときの対応方法は

利用者さんに低体温症と思われる症状が出ているときは、どのような対応をするのがいいのでしょうか。

まずは意識があるか確認する

低体温症が疑われる場合は、まず意識の有無を確認しましょう。呼びかけてみて意思疎通ができるかどうかという点に注目します。反応がない場合は、瞳孔が開いていないかも確認しましょう。

意識がない場合は低体温症が中度以上に進行している可能性があるため、すぐに救急車を呼びます。同時に、窒息を防ぐために気道を確保しておきましょう。

急激に体温を上げるのはNG

低体温症の疑いがある場合は体を温める必要がありますが、温め方は状況により異なります。初期症状の場合は、暖かい場所に移動する、ヒーターなどで体を温める、温かい飲み物を飲むなどの方法で問題ありません。衣類が濡れていたら脱がせて髪の毛や体は水気をふき取り、積極的に体を温めてあげましょう。

症状が中度以上の場合は、積極的に体を温めると冷えた血液が心臓に一気に流れ込み、心室細動を引き起こすリスクがあります。ヒーターなどではなく毛布などで緩やかに温めるようにしましょう。少しの刺激でも不整脈などを引き起こす恐れもあるので、体を動かさないようにすることも大切です。呼吸や心拍をチェックしながら、救急車が到着するのを待ちましょう。

高齢者に多い低体温症に注意して!

夏の熱中症と同じく、冬は低体温症に注意が必要です。「電気代がもったいない」「寒さは我慢できる」などと暖房をつけずに過ごす高齢者も多いですが、その考えが低体温症の原因になることもあるでしょう。高齢者の方は寒さを感じにくい傾向にあり、気づいたときには症状が進行していたというケースも少なくありません。低体温症についてきちんと理解したうえで、できる対策をしておきましょう。

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