加湿器でレジオネラ菌が発生!?介護職が知っておきたい注意点

日本医師会では、かゆみの予防策として入浴時間や肌着の選び方とともに、部屋の湿度低下に加湿器を使用することを提示しています。しかしながら、加湿器のタンク内でレジオネラ菌が繁殖し、レジオネラ症に感染してしまう事例もあとを絶ちません。そこで今回は、加湿器でレジオネラ菌が発生する仕組みと、レジオネラ菌を絶つ加湿器のお手入れ方法をご紹介します。利用者さんだけでなく、現場で働くスタッフに健康被害を及ぼさないためにも、しっかりと注意しておきましょう。

加湿器とレジオネラ菌の関係性は?

家庭の加湿器でも起こりうるレジオネラ菌による感染症、その関係性を知っておけば、対策も考えやすいものです。まずはレジオネラ菌とは何か、レジオネラ菌を原因とした感染症についてみていきましょう。

レジオネラ菌とは

レジオネラ菌とは、河川や温泉、土壌など、自然界で生きている細菌です。
抵抗力が弱まっている高齢者や赤ちゃんが感染すると、レジオネラ症を発症します。このレジオネラ症は、呼吸困難や意識障害などを引き起こして重篤化する場合もある恐ろしい病気です。
未消毒の水や溜まった水、水温20~50度前後の水に混入すると、レジオネラ菌は増殖する恐れがあります。給水・給湯設備や、循環式浴槽、加湿器などから発見されることがあり、介護施設で冬場に加湿器を使用する際には注意が必要です。

加湿器のレジオネラ菌が原因で死亡するケースも

レジオネラ菌は、腐葉土の粉塵を吸い込んだり、温泉浴槽内で水を誤飲したりといった経路で感染する他、エアロゾル感染といって加湿器などからレジオネラ菌に汚染された水の粒子を吸い込むことで感染する場合もあります。過去に介護施設で使用していた加湿器からエアロゾル感染し死亡したケースもあるため、冬場の加湿器の利用には細心の注意が必要です。

こんな加湿器には注意!レジオネラ菌が繁殖しやすい加湿器とは

スチーム式やハイブリッド式、気化式など、加湿器で空気を加湿する方法にはさまざまありますが、その中でも最も注意が必要となるのが超音波式の加湿器です。
他の加湿器は水を気化させてから加湿したり、加熱して加湿したりと、万が一レジオネラ菌に汚染された水だったとしても空気中に放出する可能性は低いでしょう。しかし、超音波式は水を霧状にして噴霧し加湿するため、感染源になる確率が高いのです。レジオネラ菌による感染症を引き起こさないためにも、面倒であっても加湿器やタンクは毎日しっかりとお手入れして使うようにしましょう。

加湿器からレジオネラ菌をばらまかないためにしたいこと

加湿器からレジオネラ菌をばらまかないために抑えたい、3つのポイントをご紹介します。超音波式の加湿器に限らず、すべての加湿器で注意すべきことなので、しっかりと確認しておきましょう。

加湿器の水は毎日取替える

タンクの水は毎日入れ替えましょう。水道水は、飲み水としても利用できるよう塩素などで消毒してあります。カビや雑菌の繁殖をある程度の時間は抑えることができるので、加湿器に使う水はミネラルウォーターや浄水器の水よりも水道水がおすすめです。そうはいっても、放置していると水道水に含まれる成分が汚れの原因になってしまうこともあります。フィルターの目詰まりを起こして消費電力が増えるといった弊害も生じる可能性があるため、加湿器の水は毎日交換するようにしましょう。

トレイやフィルターの定期的な掃除

タンクや給水トレイ、フィルターは定期的な掃除をしましょう。トレイやフィルターに水垢がついていると、悪臭の原因や加湿能力の低下などを引き起こします。Panasonicによると濡れた状態の加湿フィルターは1~3日で多くの細菌が繁殖することもあるため、汚れやぬめりが生じないように掃除をおこないましょう。給水タンクは毎日水の入れ替えの際に振り洗いを、トレイやフィルターは2週間に1回柔らかいスポンジで洗うというのが目安です。気化フィルターは月に1回浸け置き洗浄をするようにすると、なお良いでしょう。

吹き出し口にも要注意

意外と見落としやすいのが、吹き出し口です。吹き出し口に水滴が付着している場合、そこから雑菌が繁殖してしまうこともあります。加湿器の使用後は水分を拭き取り、定期的にすべて乾燥させる時間を作りましょう。レジオネラ菌は乾燥に弱いため、繁殖の予防に繋がります。

加湿器の正しいお手入れでレジオネラ菌による健康被害を予防しよう

加湿器からレジオネラ菌に感染する事例はあるものの、正しいお手入れをしていれば、感染を予防しながら使うことはできます。高齢者にとって皮膚の乾燥は大敵です。利用者さんが快適な生活を送るためにも、加湿器の注意点をしっかりと把握し、効率よく保湿をおこないましょう。

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