介護施設の管理職の役割とは?重要なのはマネジメント能力

人手不足が続いている介護業界では、離職率が高いこともあり、職務経験年数が3年程度でも管理職に就任するケースがあります。実力が伴わないうちに管理職を任されることになりますが、管理職を早く経験することでキャリアップや報酬アップのチャンスになると前向きに捉え、取り組むのもひとつの方法です。そこで今回は、管理職になった介護施設職員が知っておきたい、現場のマネジメント方法をご紹介します。

管理職になるための資格は必要?

施設の種類や形態によって、管理職として任される仕事内容が異なります。管理職になるためには、管理者資格などは必要なのでしょうか?ここでは、管理職になるために必要な要件を確認していきましょう。

【資格が必要な施設】

  1. 介護老人健康施設…都道府県知事から承認を受けた医師
  2. グループホーム・小規模多機能ホーム…指定施設の従業者および訪問介護員で、認知症に関する介護経験が3年以上。認知症対応型サービス事業管理者研修修了者

【資格不要の施設】

  1. 特別養護老人ホーム
  2. 有料老人ホーム
  3. サービス付き高齢者向け住宅
  4. デイサービス

上記で紹介したように、特別な資格を持っていなくても、管理職として働くことは可能です。資格が必要と記載してある施設の場合でも、経験年数や研修を完了していることなどの条件をクリアすれば、管理職に挑戦できる場合もあるでしょう。

介護施設の管理職の主な仕事内容は?

介護施設の形態によって異なりますが、主にマネジメント業務を行うことになります。ここからは、管理職の主な仕事内容について見ていきましょう。

介護スタッフの採用や育成

管理職にとって重要な仕事のひとつが、介護スタッフの採用や育成です。介護施設でのサービスを充実したものにするためには、スタッフの育成を充実させることや、優秀なスタッフを配置するようにします。

介護スタッフのシフト作成や勤怠管理

介護の現場では、日勤だけでなく夜勤も含めた2交代制でシフトを組んでいる場合が多いです。そのため、夜勤明けは2日休むなど、過剰な連続出勤にならないようにシフトを作成し、勤怠管理をするのも管理者の仕事となります。

労働環境を整える

介護スタッフが働きやすいよう環境を整えるのも、管理者の仕事です。人手不足によって過重労働などが問題視されている業界なので、残業が発生しすぎていないかなどを含めた労働時間の管理も大切。介護スタッフの現状を把握し、働きやすい環境に整えます。

施設の運営関連業務

例えば、介護保険法や厚生労働省の省令などの改正は、施設の運営に直接関わる部分です。管理者は施設の運営を円滑にするためにも、常に最新の情報を把握する必要があります。省令の改正によって書類の提出などが必要な場合は、管理者が対応することが多いです。

利用者さんからの相談対応やご家族との面談

利用者さんが入居する際はもちろん、退去する際にもご家族と面談を行い対応します。入居する前であれば、健康状態の確認を行い、利用者さんの状態に合った最適なケアプランであるかなどをチェックしましょう。入所中も、さまざまな利用者さん・ご家族から相談を受けることがあるので、その都度臨機応変に対応する必要があります。

外部の業者とのやり取り

介護用品の販売会社や備品の卸業者など、外部の業者が来訪した際には管理者が対応することが多いでしょう。業者と良好な関係を築くことはもちろん、利用者さんが快適に過ごせるように備品などを発注することも大切な仕事です。

収支管理業務

利用者さんの契約内容の把握や、経費の管理なども管理者が担当する場合が多いです。介護サービスの収入は、利用者さんの利用料や介護保険の介護報酬などからまかなっています。管理者は無駄な支出がないように日頃から意識しておくことが大切です。

介護施設の管理職に求められる能力

介護施設の管理職にはさまざまな能力が求められますが、中でも特に重要視されている能力をピックアップしてご紹介します。

施設全体をマネジメントする力

利用者さんが安心して過ごせるよう適切なサポートするためには、管理者が施設全体の状況を把握することが大切です。施設全体の状況に合わせて、介護スタッフを採用し、適切な役割分担で配置を行うことで、利用者さんの満足度も高まるでしょう。

介護スタッフの育成や指導力

介護スタッフの育成も管理者の大切な仕事です。介護スタッフのタイプに合わせて、育成マニュアルを作成し定期的に面談などを行うことで、的確な指示が出せ、信頼を得ることができるでしょう。

リーダーシップや統率力

介護施設全体をまとめるリーダーシップ力も重要です。全体を把握したうえで明確な目標を設定し、組織を統率する力も求められます。リーダーシップを発揮することで、他の介護スタッフから、「この管理者から学びたい」などと尊敬されるようになるのが理想です。

介護に関する専門的な知識

管理者になるには、介護保険や介護サービスなど、介護に関わる専門的な知識が必要です。しっかりと内容を理解しておくことで、介護スタッフなどから出た要望が法令には触れない方法なのだろうか、など自身で確認することが可能になります。

コミュニケーション力

介護スタッフが、利用者さんや利用者さんのご家族に対して、円滑なコミュニケーションをとれるようにサポートするのも管理者の役目です。管理者は、指導や指示をするだけでなく、コーチングなども取り入れ、スタッフの能力を引き出すことが大切となります。

金銭管理の能力

介護施設に無駄な出費があるかどうかや人件費の見直しが必要かなど、見極める力も管理者には必要です。また、支出が減らせないと判断した場合には、広報活動や営業活動を行って利用者さんを獲得するなども金銭管理能力の一部といえるでしょう。

介護施設の管理職はやりがいのある仕事!

介護施設の管理職には、介護のスキルや知識だけでなく、さまざまな能力が求められることがわかりました。マネジメント能力やリーダーシップ力、または金銭管理能力やコミュニケーション力など、身につけておくことで確実にキャリアを積むことができ、自信に繋がるはずです。介護の業界でレベルアップを目指すなら、ぜひチャレンジしてみてください。

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