サービス付き高齢者向け住宅とは?セカンドライフに寄り添う仕事

有料老人ホームなどと比べ、入居者さんの自由度が高いとされるサービス付き高齢者向け住宅。一般社団法人 高齢者住宅協会によると、2021年9月時点でのサービス付き高齢者向け住宅の登録件数は27万戸あまりです。登録制度がスタートした2011年から80倍近くの増加となっています。サービス付き高齢者向け住宅とはなにか、その内容や魅力を知って、あなたもスタッフとして高齢者のセカンドライフをサポートしませんか?介護スタッフ経験者、医師や看護師など幅広い有資格者にとって活躍の場となるでしょう。ぜひ転職やキャリアアップの参考にしてください。

【簡単に解説】サービス付き高齢者向け住宅とは?有料老人ホームとの違いは?

サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)とは、単身の高齢者や夫婦が住むことができる賃貸住宅を指します。2011年に国土交通省と厚生労働省が管轄する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正を受けて創設された登録制度で、これをきっかけにサービス付き高齢者向け住宅が全国に設置されるようになりました。登録基準として、バリアフリー構造や規定の面積を満たした施設において、安否確認と生活相談のサービスを提供することが必須条件となっています。なお、ここでいう高齢者は原則として60歳以上が対象です。ただし、介護認定を受けている場合は60歳未満でも入居可能(入居対象)となっています。

よく比較されるものとして代表的なのが、有料老人ホームです。サービス付き高齢者向け住宅と異なる点としてもっとも大きいのは、契約形態となります。有料老人ホームの契約形態は「終身利用権方式」。施設に住む権利や利用する権利、介護などのサービスを受ける権利といった”利用権方式”の契約形態となります。一方、サービス付き高齢者向け住宅は「賃貸借方式」で、あくまでも賃貸住宅のひとつとして契約を結ぶのが一般的です。

提供するサービス内容とは?介護保険サービスは受けられる?

サービス付き高齢者向け住宅で提供するサービスには、必須のサービスが2つ設けられています。ほかにも、施設ごとに異なるサービスや入居者さんが選択して受けるサービスの提供が可能です。

必須サービス

見守りサービスとも呼ばれるサービスで、安否確認(状況把握)や生活相談サービスの提供を行います。サービス付き高齢者向け住宅では”ケアの専門家”が少なくとも日中は建物内に常駐していなければなりません。

ケアの専門家とは医師や看護師を含む専門家です。ケアの専門家については、詳しくは後述する「職員の種類と人員配置」をご覧ください。

生活支援サービス(オプション)

食事の提供や清掃、洗濯などの家事援助サービスをオプションとして提供することができるケースもあります。また、健康の相談や増進についてのサービスを提供する場合も。入居を検討する高齢者は、どのようなサービスを利用することができるか、入居前にこれらを比較検討することが多くなっています。

介護保険サービス

入居した高齢者が介護保険サービスを受けたい場合、自身で必要なサービスを選んで利用します。この場合は、外部のサービスを利用するのが一般的です。ただし、サービス付き高齢者向け住宅が「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる施設の指定を受けているケースでは異なります。この指定を受けた施設では、介護保険の対象となる日常生活の介助や機能訓練などのサービスを、施設スタッフが提供。この部分においては、サービス付き高齢者向け住宅ではありますが、有料老人ホームと重なるサービスを提供することになります。

介護や看護体制は?医療サービスは受けられる?

サービス付き高齢者向け住宅とは、施設の形態によって介護や看護などの体制が大きく変わります。前項で少し触れた通り、必須サービス以外は、入居者さんの必要に応じて、外部サービスを利用してもらうのが基本です。医療サービスを受けたい場合も、同様に外部のサービスを利用することになります。入居者さんによっては、訪問看護やデイサービスなどを利用する人も。いずれの場合も、施設には日中は医療や介護の有資格者(ケアの専門家)が常駐し、家事援助などのサービスを提供するのが一般的です。

一方、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設では、介護スタッフや看護師が常駐しています。そのため、24時間体制でサポートを受けることが可能です。施設によっては、医療施設などとの連携が整っていれば看取りを行っているケースもあります。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていない施設でも看取りの対応は可能な場合もありますが、多くの費用がかかってしまうのが現状です。

職員の種類と人員配置

サービス付き高齢者向け住宅では、次に挙げるうち、いずれかのケアの専門家が日中1名以上は常駐している必要があります(出典:国土交通省および厚生労働省 高齢者の居住の安定確保に関する法律/高齢者住まい法)。また、このほかにも都道府県ごとに基準が定められているので確認が必要です。

<ケアの専門家>

  • 社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所などの職員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修課程修了者

サービス付き高齢者向け住宅のうち、90%以上がこれらの専門家によりケアが行われています。残りの10%未満は厚生労働省が定める「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設で、上記の条件とは異なり、介護スタッフは24時間常駐、看護師も日中常駐となります。

設備、種類は?

サービス付き高齢者向け住宅とは、国土交通省および厚生労働省によっての設備や種類が定められている施設のことを指します。

入居者さんごとの専用部分の床面積は25平方メートルが基本です。ただし、ほかの入居者さんと共同で利用する部分で十分な面積が確保できている場合は18平方メートル以上となります。各専用部分の必須設備は、キッチンや水洗トイレ、収納、洗面およびお風呂です。この場合も、共同で利用できるキッチンや収納、お風呂が十分な環境で備えられていれば、各戸に設置の必要はありません。

また、施設全体としてバリアフリー構造が求められます。たとえば、段差のない床や手すりの設置、幅のある廊下などです。

利用者さんの費用感は?

サービス付き高齢者向け住宅は、契約形態が賃借契約のため初期費用と月額費用の負担が必要です。

初期費用である敷金は、10万~20万円が相場となっています。月額費用としては家賃や管理費が含まれ、平均15万円ほどです。ただし周辺の賃貸マンションやアパートの相場に左右されるため、5万円の場合や20万円を超えるケースもあります。

一方、24時間体制で介護が受けられる「特定施設入居者生活介護」タイプの場合は全体的に費用が増加することも。契約形態も有料老人ホームと同様に利用権契約が多くなります。初期費用として入居一時金が数十万~数千万円、月額費用は家賃と管理費、食費も含まれて15万~40万円ほどになります。これは、特定施設では食事の提供を受けることが前提となっているためです。

上記に加え、介護サービスやその他の生活費を個々で加算したものが、入居者さんが月々負担する費用となります。

自由度の高いサービス付き高齢者向け住宅でセカンドライフの支援を

サービス付き高齢者向け住宅とはどのような施設か、ご理解いただけたでしょうか?あくまでも賃貸住宅のひとつであるため、入居者さんの生活の制限は有料老人ホームなどと比べると随分少なくなります。自由度の高いサービス付き高齢者向け住宅。普段の生活に寄り添う形で入居者さんのセカンドライフを支援してみませんか?

この記事をシェアする