高齢者の「怒りっぽい」「キレる」は病気の可能性も?関わり方を解説

業務で日常的に高齢者と接していると、怒りっぽい方や思わぬタイミングでキレる方と出会うことがあります。「なぜすぐ怒るのか」「自分に非があるのでは」と思い悩む介護スタッフの方もいますが、年齢的な要因や病気が潜んでいるケースもあるのがポイントです。この記事では高齢者がキレる理由や怒りっぽい方と関わる際のコツを分かりやすくお伝えします。施設利用者さんとの関係にお悩みの方は参考にしてください。

高齢者がキレる理由1:環境の変化

高齢者が怒りっぽいときは、環境的な要因が隠れている場合があります。2つの例を解説していきましょう。

居場所の変化で怒る姿が目立っているだけ

第一に、高齢者ご本人はいつも通りでも居場所が変わったことで怒る姿が目立ってしまうケースが挙げられます。

自己主張が強い方や物言いがきつい方を思い浮かべてみましょう。こうした方は、職場のような多様な人員がいる環境では“ちょっと気難しい人”程度で馴染める場合がほとんどです。しかし、高齢者が中心の介護施設では “怒りっぽい人”として一目置かれてしまう傾向があります。

高齢者扱いが不快

第二に、これまで普通に生活してきた方が退職や介護施設への入居などで周囲から急に高齢者扱いされて不快感を覚えるケースが挙げられます。

家族や介護スタッフによる高齢者を労わる姿勢が“子供に接するような態度”や“年寄り扱い”に感じ、プライドが傷つきキレるのです。

高齢者がキレる理由2:ホルモンバランスの変化

高齢者が怒りっぽいときはホルモンバランスの変化が原因の可能性も。男性も女性も更年期があり、男性であれば男性ホルモン(テストステロン)、女性であれば女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下が心身に影響を与えます。

男性は女性より加齢にともなうホルモンバランスの変化が少ないと言われますが、ストレスや環境の変化で症状が進行する場合もあるため注意しましょう。

高齢者がキレる理由3:機能低下や病気が原因

高齢者が怒りっぽくなる背景に体の機能低下や病気が潜んでいる可能性もあります。

体の機能が低下している

体の機能低下が高齢者に与える影響は無視できません。たとえば、怒りの抑制に関与する前頭葉の機能が加齢とともに低下し、感情のコントロールが難しくなるケースが代表的です。聴力や視力の低下で「よく聞こえない」「よく見えない」といった場面が増え、意思疎通が上手くいかずイライラしやすくなる高齢者も散見されます。

▶関連記事:高齢者と「話が通じない・噛み合わない」…理由からひも解く対処法

リクルートメント現象が関係している

怒りを誘発する要因としてリクルートメント現象も挙げられます。内耳に難聴のような障害があるときに起こりやすいとされる、音の大きさの変化に敏感になる現象です。これにより一般的に気にならない音でもうるさく感じて怒りを覚える高齢者がいます。

認知症の影響

認知症が理由でキレる頻度が高くなる場合もあります。物忘れが増えてイライラしたり、感情のままに行動して怒りが抑えられなかったり、認知症の影響は多様です。

感情失禁の影響

脳卒中や脳梗塞などの影響で高次機能障害を抱える高齢者のなかには、感情失禁の方もいるかもしれません。感情のコントロールが上手くいかず、小さな刺激で喜怒哀楽が激しく表に出ることがあります。

怒りっぽい高齢者と関わるときの3つのコツ

高齢者と接するなかで、怒りっぽい、キレる頻度が高い、といった方に出会ったらどう対処すべきでしょうか。3つのコツをまとめました。

<怒りっぽい高齢者と関わるコツ>

  • 傾聴の姿勢を心がける
  • 人間関係を広げる手助けをする
  • 自身の怒りをコントロールする

怒りっぽい方と接する際は、まずは相手の話を親身になって聞く“傾聴の姿勢”を心がけましょう。相手を尊重して否定せずじっくりと話を聞くと心を開いてもらえる可能性が高まります。また、高齢者の人間関係を広げる手助けをするのも良い手段です。新しい出会いが脳を刺激し、心を落ち着かせるのを助けます。

怒りっぽい方やキレる頻度が高い方と接する際は、自身の怒りのコントロールも大切です。相手の怒りに飲まれて雑な態度をとってしまうと、高齢者さんとの関係は悪化の一途をたどります。怒りを感じた瞬間に6秒我慢する、怒る必要があるか俯瞰的に考えるなどアンガーマネジメントの手法も取り入れながら怒りを抑える工夫をしましょう。

▶関連記事:アンガーマネジメントとは?介護職のための「怒り」のコントロール術

高齢者が怒っているときは必ず理由がある

日常的に接する高齢者が、怒りっぽい、キレる頻度が高い、といったときは対応に困りがちです。しかし、短気となる背景にホルモンバランスの変化や病気など高齢者ならではの理由がある点に目を向けると気持ちがラクになるかもしれません。関わり方に悩んだら、良好な関係を保つために相手を尊重する姿勢を心がけましょう。自身の感情のコントロールもカギとなります。

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